第56章 撃殺(お気に入り登録お願いします)

ガラガラ!

アドニスの人皮の口が大きく開き、周囲に剥がれ落ち、オリヴィアの姿が直接現れた。

「ああ、異教徒!」

傍らの燃える子が驚きの声を上げたが、手を出す間もなく、表情が突然冷たくなり、自分の胸に手を突っ込み、漆黒の炎で燃える心臓を取り出した。まだドクドクと鼓動している。

ドーン!

心臓が轟然と爆発し、衝撃波が四方に広がり、祭壇付近でのみ消えていった。

パリパリ!

無数のガラスが砕け散り、脆い音を立て、破片が四方に飛び散った!

「この燃える子は、狂ってしまった。まさか命を賭けてくるとは!」

オリヴィアは狼狽えながら避け、大祭司を見つめた。

明らかに、これは先ほど相手が大祭司に通知した際の汚染だった。

燃える子がこうなら、大祭司の状態はさらに深刻なはずだ!

「ここは我が主の聖所、黒炎に飲み込まれし供物たちは、皆我が主に仕える天使となるのだ!」

大祭司がそう宣言すると、周囲に漆黒の炎が燃え上がった。

そして半透明の幽霊たちが、炎の中をゆっくりと歩み寄ってきた。まるで炎の熱さを全く感じていないかのように。

琳なら、多くの人々を認識できただろう。

修、ソレン……あの供物たちが、皆ここにいた!

しかも、操れる死靈となっていた!

「まさか死者の魂をこのように冒涜するとは!」

オリヴィアは怒鳴り、いつの間にか手にしていたリボルバーの引き金を強く引いた。

バン!

大祭司の頭が爆裂したが、その影の上には、その頭がまだ存在していた。

彼の屈んだ体が一瞬にして爆裂し、無数の血肉爆弾と化し、漆黒の影が絶えず蠢き、その中から人類の首が飛び出し、首から下は黒い犬の体だった。

しかしこの時、犬の体にも密集した瘤が生え、頭皮がゾクゾクする。

「血肉の杖の汚染が、こんなにも酷いとは……我々が主の加護なければ、恐らく……」

オリヴィアは心が凍りついた。

この世界の本質は、狂気に向かっているようだ。

まさか大祭司のような者までもが、例外ではないとは!

ブチブチ!

血肉爆弾が彼女の前に落ち、巨大な白い繭の半分に阻まれた。

もう一方の琳は、先ほどの精神的衝撃から立ち直ったようで、血肉の杖を握り、先の教徒の爆発も血肉爆弾も、彼女に恐ろしい傷を負わせたが、急速に回復していた:「お前を殺してやる!」

彼女が血肉の杖を振り回すと、周囲の闇が一気に活性化し、幽霊たちを逆に侵食し、抑制し始めた。

木然とした表情の魂たちが、次々と闇に飲み込まれていく。

血肉の杖の活性化の権能は、血肉生命にだけ有効なわけではない。

さらには、大祭司が化した黒闇の獸の体の瘤も次々と破裂し、中から血肉の触手が伸び、大祭司を逆に束縛しようとした。

本来、大祭司の変化した生命は完全に火と闇で構成されており、血肉の杖にそれほど制御されなかった。

しかし前回攻撃を受け、汚染されて以来、状況は変わった。

大祭司の元々濃厚だった「闇」の靈性の中に、「赤」の靈性が混ざっていた。

ここでさえも、抑制も剥離もできない……

そして今、琳によって完全に爆発させられた!

黒闇の獸がシャドウに飛び込もうとする動きが、突然遅くなった。

虚空には、いつの間にか無数の糸が現れ、それを絡め取っていた。

「冒瀆者どもよ、【黒日】はお前たちを許さぬ。」

大祭司の頭部は最後の瞬間、少し理性を取り戻したかのように、大声で叫んだ:「我が主よ……【黒日】よ……あなたの眼差しを降臨させたまえ、私はこの全てをあなたに捧げます!」

「遅すぎる。」

琳の全身から鮮血が噴き出し、体が一気に赤くなったが、速度が爆発的に増した。

彼女は瞬間移動のように、大祭司の前に現れ、手の中の杖の先端が極めて鋭くなり、大祭司の体内に突き刺さった。

「闇……」

大祭司の犬の体が急速に干からび、頭部が白骨化する前に、最後の言葉を吐いた。

「早く逃げましょう!」

オリヴィアは悲鳴を上げた。彼女は強い危険を感じていた。

それは大祭司から直接来るものではなく、あの祭壇から、その上の日輪から来るものだった!

……

教会の外、空の中。

あの黒日が何かに引き寄せられたかのように、漆黒の日冕が突然激しく波打ち始めた。

黑日鎮の上で、全ての黒日教徒が震え、空から直接降り注ぐ一瞥を感じ取った。

それは「闇」の化身、真の【黒日】の眼差し!

混沌、狂気、しかし異常なほど強大!

「あっ!」

最初は一人の教徒が、悲鳴を上げながら松明と化した。

次いで二人目、三人目……

全ての信者が、【黒日】の薪となった!

ゴウゴウ!

琳は素早く後退し、大祭司の体が激しく燃え上がるのを見た。

漆黒の炎の中に、巨大な竪目が一つ、まさに彼女を見つめていた!

「これは……【黒日】!」

たった一つの眼差しで、琳とオリヴィアはほとんど溶けそうになった。

この生死の境で、彼女たちは急いで祈り始めた:「未知を彷徨う虚妄の霊よ、絶対中立の存在よ、沈黙の観測者よ……どうか恩寵を降し、私たちをお救いください!」

……

「【黒日】の降臨?」

「いや、ただの一瞥、一つの視線だ……」

アーロン・ソトスは琳の復讐を最後まで見守り、そして溜息をつき、神秘力が湧き上がり、冥冥の中で築かれた繋がりから二人の女性の体内に流れ込んだ。

「この【黒日】から受ける感覚は、【紅月】と同じく、理性がないようだな……」

彼は文句を言った。

もし【黒日】が本当に降臨するか、化身が降臨すれば、彼もちょっと怖いだろう。

しかし今のこの程度なら、先ほどの琳が汚染された時と同じくらいで、アーロンは損得を考え、まだ手を出せると判断した。

……

教会の中。

琳の目の前に無限の光が現れ、無数の光球が一つの大門を形作った。

光!

全てを救済するかのような光が、虚空から激しく降り注ぎ、漆黒の炎を消し去った。

パキッ!

祭壇の上の、【黒日】を表す印が裂け、自然と灰となった。

「はぁはぁ……主の加護に感謝します。」

オリヴィアは深く息を吸い、大祭司が焼かれた灰を見た:「何か残っている……」

彼女が近寄って見ると、灰の中に、純白の石が残っているのを発見した。

「靈性結晶?」

オリヴィアが指を伸ばして触れると、指先に突然骨を刺すような寒さを感じ、目の前で消えた炎が見えたような気がした:「なるほど、火が燃え尽きた後には、全てを凍結する氷が残るというわけか。」

「早く、何かにこれを入れて、ここを離れましょう。」

二人は急いで教会を出て、あちこちの松明と灰の山々を見て、さらに足を速めた。

……

黑日鎮では、全ての教徒が燃え、燃え……

時が経ち、灰の上から、小さな「黒闇の獸」が次々と顔を出した。

これは【黒日】の恩寵!

もし生命が薪として燃え尽きる運命を乗り越えられれば、その者は真の「黒闇の獸」となるのだ!