「機密?」
琳とオリヴィアは目を合わせ、他の信者たちを退かせた。
「よろしい、我が主の祭壇の前で、その御目の下で、ようやく話すことができる……」
イミルは深いため息をつきながら言った。「私は『影』の道を遠くまで歩み、道の果てにある存在をかすかに垣間見ることができる。たとえそれがわずかな光輝であっても、諸神の囁きを盗み聞くことができる……私はこの大陸を隈なく歩き、様々な教団の教義を学んできた。そして最後に、この世界は……まもなく滅びるという結論に至った!」
「滅びる?」
琳とオリヴィアは驚きの表情を見せなかった。終末世界の人類の受容力は想像を超えていた。
そして、彼女たちもその兆しに気付いていた。
「私は世界が滅びることを知っているだけでなく、なぜ滅びるのかも知っている……あの高みにある、各道の果てに存在する者たち……」
イミルは夢見るような声で語った。「以前は、私は彼らの名を口にすることができなかった。しかし我が主の洗礼を受けた後、それが可能になった……彼らは自らを『運命司り』と名乗る。『衆生と世界の運命を司る神』という意味だ……彼らは狂気に満ち混沌とし、邪悪で怪異に満ちている……彼らは着々とこの世界を侵食し、すべての『運命力』を収束させているのだ!」
「彼らが完全に世界を侵食し、運命力を掌握したとき、この世界には自由意志を持つ存在は一つも残らなくなる!」
「すべての人類は彼らの眷属へと変貌し、果てしない狂気と混沌の中で滅びへと向かうのだ!」
……
琳とオリヴィアの表情は極めて深刻で、まるでその絶望的な未来を目の当たりにしたかのようだった。
さらに、イミルの語る内容は、彼女たちがこれまでに発見したことと、明らかに繋がっていた。
「私の道は『影』、小さな奇跡の象徴です。私はずっとその奇跡を探し求めてきました……そしてついに、見つけたのです。」
イミルは祭壇を見つめ、狂信的な表情で言った。「世界の滅びを止められるのは奇跡だけです。そして私は信じています。その小さな奇跡は、ここに、まさにこの場所に存在すると!」
……
「運命神様……か」
アーロンはこれらすべてに耳を傾けながら、軽く頷いた。
実際、彼も感じていた。
運命司りたちがこの世界を侵食し続けるにつれ、彼の【危險感知】も強まり続けていた。
「おそらく……運命司りたちがこの世界を完全に侵食し、運命力を掌握した時、唯一の不協和音として気付くのは……私の存在だろうか?」
この推測は、すぐにアーロンの心を重くした。
「幸い、反撃の手段がないわけではない……」
彼は深く息を吸い込んだ。
かつて、夢の世界での16年間の神秘エネルギーの蓄積は、太陽を改造できるほどだった!
そして今、現実世界では7年が経過している!
3分の1を行動やその他の消費に使い、3分の1を自身の強化に使い、残りの3分の1だけを蓄えているとはいえ、それでも2年以上の蓄積があった!
これは夢の世界を動かすのに十分な力だ!
「確かに、もう一つの紅き太陽様は作れないが、できることはまだたくさんある……」
アーロンは琳とオリヴィアに目を向けた。
この二人の信者は、このような大きな知らせを聞いても、祈ることしかできなかった。
結局のところ、世界の滅亡を前にしては、第四段階の非凡者二人など、何の意味も持たなかった。
「我が主よ……黒日祭が近づき、救済の光は危機に瀕しています……多くの運命司りが運命力を侵食し、世界は滅びようとしています……」
「どうか、あなたの卑しい信者に啓示をお与えください!」
……
祈りの声が一つ一つアーロンの耳に届いた。
彼は軽く笑い、'祈り'に応えた。
その時、琳とオリヴィア、そしてイミルの耳に、同時に空虚で幻想的な声が響いた。
一つ一つの文字が波打ち、まるで嵐を巻き起こすかのように、塵世を吹き抜け、紙面を揺らし、強風を引き起こした。
「我は絶對中立者なり、我は塵世に干渉せず……」
イミルはその場に立ち尽くし、まるで彼の理性が狂気の力に押しつぶされ、惑わされているかのようだった。
一方、琳はアーロンと最も長く接してきたため、このようなことには慣れていた。彼女は尋ねた。「我が主よ……どうかあなたの卑しい信者をお憐れみください。」
滅びゆく世界を救う代価が、自分には支払えないことを彼女は知っていた!
たとえ彼女と教団全体を売り渡したとしても足りないだろう。
まして、彼女の肉体も魂も、すでに虚妄の霊のものなのだから!
アーロンはそれを聞いて、平静に言った。「我は代価を必要とする。それはお前たちが支払うことになる……」
「世界の滅びは我が望むところではない。救濟の光教團も黒日祭によって破壊されてはならない……」
「黒日教団を解決せんとするなら、まず【黒日】を解決せねばならぬ。【黒日】を解決せんとするなら、まず紅き太陽様を滅ぼさねばならぬ!」
「これは世界を救うことと矛盾しない!」
……
オリヴィアはすでに呆然としていた。
「【黒日】と紅き太陽様を解決する?」
そんなことは考えることすらできなかった!
【黒日】はすでに'闇'の果ての神秘源、真の世外の神!太陽の化身だ!
そして紅き太陽様は、すべての災厄の源!神秘の創造主に等しい存在!
そのような存在が、どうして滅ぼせるというのか?
しかし琳はすぐに信じたようだった。「我が主に栄光あれ。あなたは多くの運命司りの運命力を掌握されている!」
通信を切ったアーロンは少し困惑した。これでまた自分に権能が一つ加わってしまったな。
しかし、彼の心の中には確かにすでに計画があった。
今となっては、イミルの出現は、ただ彼の決意をより強固にしただけだった。
「2年余りの蓄積は、もちろん16年には及ばない……だから、紅き太陽様を強引に殺して太陽を消滅させようとするのは、完全な望み過ぎだ……しかし、迂回的な方法を取ることはできる!」
意識の中の神秘エネルギーを感じながら、アーロンは軽く笑った。「運命力か?」
彼は意識を動かし、これまで蓄積してきた神秘エネルギーの単位が潮のように溢れ出した。
以前のアーロンならこのような力を大規模に操ることはできなかったが、1年分が蓄積された今、彼は夢の世界に干渉できることを感じていた。
「我が力を以て、一つの噂となし、一つの運命力となせ!」
「すべての運命司りは運命力より直接啓示を得ん。彼らが更なる高みを目指さんとするなら、まず紅き太陽様の権能を奪わねばならぬ!」
アーロンは一字一句、山のように重い声で語った。
最後の一文字を言い終えた時、彼は体内に蓄積された神秘エネルギーが消え去ったのを感じ、苦笑した。
同時に、期待の色も浮かべずにはいられなかった。
運命神様の多くは狂気に満ち混沌としている。そして自分の【夢の創造主】としての位格で、神秘エネルギーを消費して発した'運命力'は、たとえ以前は偽りであっても、今や真の運命力となる!
彼らは本能から、運命力から直接、より強大になるためには、まず紅き太陽様の権能を奪わねばならないと悟るだろう!
狂人たちが何をするか?もはや想像するまでもない!
……
アーロンの言葉が落ちた瞬間、夢の世界で。
一般人は何の変化も感じなかった。
しかし、すべての非凡者は、どの道を歩む者であれ、突然震え、自身の道の神秘源の震動を感じた!
それは興奮であり、咆哮であり、そして……血に飢えた欲望だった!
琳は震えながら窓の外を見た。
天空では、漆黒の夜が半分の空を覆い、血月が現れ、その上に血肉の母樹が枝を伸ばし、まるで紅き太陽様に向かって探りを入れているかのようだった!
同時に、大地の上、森の中、歴史の霧の中、死の潮流の中……どこからともなく強大な存在が、世界を震撼させる咆哮を上げた!