第147章 お姉さん、こんにちは！

「私は頭がおかしくなったに違いない。彼らについて行くなんて。」

夜鶯は弟妹たちを連れて、プレイヤーたちの護衛のもと前進していた。

先ほどのエルフの魔法使いが描いた符号を思い出し、夜鶯の心は疑問と好奇心で一杯だった。

間違いない……絶対に間違いない！

あの符号は、族の長老たちが何度も描いていたのを見たことがある！

それはエルフ族かつての母なる神——ネイチャー、ライフとエルフの権能を司る偉大なる世界樹の象徴だった！

しかし、夜鶯の知る限り、世界樹は千年前にメテオフォールしたはず……

そして世界樹のメテオフォールこそが、エルフ族の衰退を招いた原因だった。

夜鶯の記憶の中で、家族の長老たちは常に過去の栄光を懐かしみ、同時に母なる神への思慕と敬虔さに満ちていた。

ただ、新世代のエルフとして、夜鶯はすでにメテオフォールした世界樹にそれほどの感情を持っていなかった。

彼女が生まれた時から、すでに放浪の生活を始めていた。

彼女にとって、世界樹は伝説の存在であり、歴史上の象徴に過ぎなかった。

しかし今……世界樹が帰還したと告げられるとは？

他の種族が言ったのなら、夜鶯は絶対に信じなかっただろう。しかし告げたのはエルフだった！

このエルフたちは奇妙な感じがするものの、自分を騙す理由はなさそうだった。

本当なのだろうか？

もし本当なら、エルフ族の現状は確実に変わるだろう……

夜鶯には信仰力はなかったが、セイグス世界の知恵種族にとって、真なる神への信仰がどれほど重要かは理解していた。

信仰力は加護をもたらす！

しかし……たとえ世界樹が帰還したとしても、どうなるというのか？

千年前、全盛期の銀文明でさえ諸神の世界に敗れたのに、今や衰退したエルフ族に、世界樹は本当に全てを変えられるのだろうか？

夜鶯から見れば、エルフ族自身が変わらない限り、たとえ真なる神が帰還しても、おそらく別のサイクルを繰り返すだけだろう。

結局……エルフ族は頑固すぎる、融通が利かなすぎる、笑えるほどに！

半信半疑の態度で、夜鶯はプレイヤーたちについて行くことにした……

咸ちゃんたちの同行のもと、夜鶯たちは隠された転送魔法陣の前にやってきた。

この魔法陣の材料は新しく見え、まるで今作られたばかりのようだった。まだ完成していないようで、傍らで見知らぬ女性エルフが調整を続けていた。

「グーグーねえさん、あとどのくらい？」

咸ちゃんが尋ねた。

「もうすぐよ、ここの魔力が少し乱れているから、安定用の符文をもう少し追加しないと。」

女性エルフは魔法陣を調整しながら答えた。

転送魔法陣か……

夜鶯は物思いに沈んだ。

考え込むエルフの少女を見て、咸ちゃんは笑顔で言った：

「この魔法陣は黒竜メリエルの城につながっているの。そこに行けば、私の言ったことが本当か嘘かわかるわよ。」

二つの転送魔法陣の間の距離には制限があった。

プレイヤーたちの現在の技術と材料では、中距離の転送魔法陣しか建設できなかった。

中距離の転送魔法陣の最大転送範囲は100キロメートルを超えないため、リベンデールの魔法陣は岩窟部族付近の黒竜城としか接続できなかった。

現在プレイヤーたちが所有する数個の転送魔法陣の接続順序は：エルフの町-フィレンツェ-黒竜城-リベンデールで、ある意味オンラインゲームの4つのマップのようなものだった。

さらに、転送魔法陣の運用には消費があり、その運転は空気中の魔力と魔法陣上の少量の魔石の魔力に依存していた。

転送を起動する際、魔法陣の消費は増大し、この消費量は転送される物質の質量に比例し、そのエネルギーの影響も受けた。

もちろん、エルフ族は魔法陣の造詣が極めて高く、彼らが描く転送陣の消費は非常に少なかった。

そして魔石の魔力が尽きていない限り、魔法陣は使用し続けることができた。

烈火の部族は多くの魔石を持っており、岩窟部族を探索した後、プレイヤーたちはオークのテントでさらに多くを発見したため、現在の転送陣のわずかな消費は彼らにとって全く問題にならなかった。

黒竜の城？

夜鶯の心臓が跳ねた。

もし間違っていなければ、そこはまさに半獣人部族の近くだった！

待って……もしかして彼らの言っていたことは全て本当なの？

しばらくして、グーグーさんはついに魔法陣の魔力を安定させ、それを起動した：

「よし、起動できるわ。」

彼女は魔法陣の前から立ち上がった。

「行きましょうか？」

咸ちゃんは夜鶯に甘く微笑みかけ、先に魔法陣に踏み入れた。

夜鶯は少し躊躇した後、弟妹たちに続くよう声をかけた。

目の前で光が閃き、夜鶯は目に見えない障壁を通り抜けたような感覚を覚え、周囲の空気が遺跡の冷たく湿った空気から、さわやかで乾燥した空気に急変した。

周囲の景色がはっきりと見える前に、賑やかな喧騒が聞こえてきた：

「はは！魔法陣の起動成功！」

「新マップ開いた！新マップ開いた！行こう行こう！」

「ちょっと待って！まだ向こうに行かないで、誰か転送されてきたよ！」

何が起こっているの？

夜鶯は少し戸惑った。

すぐに光が消え、夜鶯の視界が正常に戻った。

「エ……エルフ？！こんなにたくさん？！」

夜鶯は思わず驚きの声を上げた。

彼女は古い城の中に立っており、大広間には様々な姿のエルフで溢れかえっていた。少なくとも百人はいるように見えた。

さらに遠くの大広間の入り口には、整列した長い列が見え、その終わりは見えなかった……

エルフ！

たくさんのエルフ！

これは……少なくとも小規模な族落分はいるでしょう？

しかも彼らの髪の色は様々で、全ての種類があった！

夜鶯は驚きで口を大きく開け、まるで夢を見ているかのようだった……

そして夜鶯を見て、大広間でリベンデールの「マップ」に入るために並んでいたプレイヤーたちの目が一斉に輝いた：

「生配信に出てたNPCお姉さんだ！確か夜鶯って名前だよね！」

「新しいNPCだ！」

「わあ！小さなエルフたちもいる！」

「はぁ……可愛い……」

「聞いた話じゃ、お姉さんは盗賊で、腕前がすごいらしいぞ……」

「おお、才能の持ち主だな！新しいスキルが学べるぞ！」

「夜鶯さん、こんにちは！」

彼らは熱心に夜鶯たちに挨拶を始め、彼らを驚かせた。

待って……

どうして私の名前を知っているの？

待って……

会ったこともないのに、私が盗賊だってわかるの？

夜鶯は愕然とした。

同時に、彼女は思わず顔が熱くなるのを感じた……

正直に言えば、夜鶯でさえ、盗賊は誇れる職業だとは思っていなかった……

大勢の人に興奮して呼ばれるのは、まるで公開処刑のようなものだった……

「盗賊お姉さん、こっちを見て！私はハンター職なんだけど、盗賊に転職できるよね！」

「盗賊お姉さん！こんにちは！」

プレイヤーたちは依然として楽しそうに挨拶を続けていた。

夜鶯：……

恥ずかしい！

本当に恥ずかしすぎる！

彼女は首を縮め、弟妹たちを守りながら、思わず一歩後ずさりした。

「怖がることはない、彼らは我々の仲間だ。」

このとき、低く力強い声が彼女の背後で響いた。

夜鶯は温かい大きな手が自分の肩に置かれるのを感じ、安心感を覚えた。

振り返ると、弁当さんが落ち着いた様子で彼女を見つめ、安心させるような眼差しを向けていた。

仲間……

夜鶯は軽く息を呑んだ……

彼ら……彼らはすでにこれほど多くの族人を集めていたの？

そして弁当さんが夜鶯たちを守るように立つのを見て、他のプレイヤーたちはすかさずからかい始めた：

「おお！弁当さま、もうナンパしちゃったの？」

「まさかあなたがそんな人だったなんて……」

「衝撃！全サーバー最強プレイヤーがNPCにこんなことを……」

弁当さん：……

プレイヤーたちのからかいを聞いて、彼の表情が少し曇り、思わず手を離した。

「消えろ。」

彼は言った。

弁当さんが怒りを見せると、彼をからかっていたプレイヤーたちは首を縮め、へへへと笑った。

夜鶯：……

「道を開けて！みんな道を開けて！私たち任務中なの！」

咸ちゃんは群衆を掻き分けながら言った。

「隱密任務まだ終わってないの？」

「羨ましいなぁ……」

「はぁ……もういいや、新マップに行こう。」

他のエルフたちはため息をつきながら、道を開けた。

大多数の人々は夜鶯たちへの関心を失い、興奮して魔法陣に入っていった。

しかし何人かは残って、熱心に夜鶯たちに近づこうとした：

「夜鶯さん、こんにちは！私はデマーシアと言います。ガイドは必要ですか？」

「あの……案内させてもらえませんか？その代わりに盗賊スキルを教えてくれませんか？」

「夜鶯さん！こんにちは！友達になりませんか！」

夜鶯：……

エルフ族は常に高慢で優雅であり、族人との付き合いでさえ、常に礼儀正しかった。

しかしこの連中は……

よし、今なら信じられる、彼らは間違いなく弁当さんの仲間だ。

彼女はため息をつき、城の窓の外を見た。

そしてその一目で、夜鶯は目を見開いた。

彼女は見た……

丘の下にかつてあった岩窟部族が、

すでに廃墟と化していた……