第37章 誰が誰を殺すのか?

「女を罵るだけで、何が偉いんだ!」

林逸は口を尖らせ、ハゲさんを見つめながら言った。「ねぇハゲさん、お前の本当の目的は銀行強盗じゃないだろう?銀行強盗は口実に過ぎないんだろう?お前たちの本当の目的は、楚夢瑤が狙いなんだろう?」

「ふん、見抜いたところで何になる?お前はもう俺の虜になったんだぞ?」

この時点でハゲさんは否定する必要もなかった。彼から見れば、林逸というイキがった男は自分の手の中の餌食に過ぎず、好きにできる。目的を知られても構わない、教えたところで何になるというのか?

「お前たちは遠くまで逃げられないぞ。警察がお前たちを追いかけて、そして潰すだろう」

林逸は同情するような目でハゲさんを見ながら言った。

「そんなことはありえない。俺は既に逃げ道を考えてある!」

ハゲさんは得意げに言った。「警察は今頃、俺の策にまんまと引っかかってるはずだ。へへへ、同じような車は一台だけじゃないからな!」

「そうかい?」

林逸はこのハゲさんを少し感心した。多少は頭が回るようだ、完全なバカ野郎ではない。しかし、それも無駄なことだ。最もバカな行動は林逸を車に乗せたことだ。これが今回の作戦が失敗に終わる運命を決定づけた。

その時、宋凌珊は緊張した面持ちでトランシーバーを持ち、各小隊と常に連絡を取り合っていた。

「宋隊長、第一中隊の劉王力です。松A74110のヒュンダイバンを発見しました。指示をお願いします!」

トランシーバーから第一中隊長の劉王力の声が聞こえてきた。

「追跡しろ。慎重に、決して気付かれるな!」

宋凌珊は命令した。

「はい!」

劉王力は返事をすると、運転手に車を発進するよう指示した。

宋凌珊はほっと息をついた。ふん、どんなに賢くても、各交差点に追跡要員を配置していたとは思わなかっただろう?今度はどこに逃げられるというのか!

宋凌珊が得意になっているところに、トランシーバーからまた報告が入ってきた。

「宋隊長、第二中隊長の張曉航です。松A74110のヒュンダイバンを発見しました。指示をお願いします!」

今度は第二中隊長の張曉航からの報告だった。

「なに?」

宋凌珊は一瞬固まり、すぐに尋ねた。「どこで見かけた?」

「環状線上です。指示をお願いします!」

張曉航が答えた。