第52章 黒豹兄

林逸が教室に入った時、授業はすでに大半が終わっており、すぐに下校のベルが鳴った。劉先生は宿題を出して教室を出て行った。

康曉波は振り返って林逸を見て、少し不満そうに言った。「大將、驚かせないでくれよ。今日来ないのかと思ったじゃないか!」

「どうした?鍾品亮たち三人に絡まれるのが怖かったのか?あいつらも来てないじゃないか」

林逸は笑いながら言った。確かに、康曉波が一人だったら鍾品亮たちには太刀打ちできないだろう。心配するのも当然だ。

「来なかったわけじゃないよ!朝に来てたんだ。張乃炮の顔にはバンドエイドが貼ってあったぞ!」

康曉波は言った。「でも何故か、ちょっと見回って帰っちゃったんだ。もしかして大將が来てないのを見て帰ったのかな?」

「へぇ?あいつら来たのか?」

これは林逸の予想外だった。しかし、来ようが来まいが、来て帰ろうが、林逸にとってはどうでもよかった。「好きにすればいい」

「そうだな。あいつらは大將の相手じゃないけど、ヤクザを呼んでくるのが怖いんだよ!」

康曉波は心配そうに言った。

「ヤクザ?どういう意味だ?」

林逸は康曉波の言葉の意味がよく分からなかった。

「自分で勝てないから、街のチンピラを呼んでくるってことさ!」

康曉波は説明した。「大將、気をつけてくださいよ!」

「あいつら、そんな連中とつながりがあるのか?」

林逸は眉をひそめた。彼から見れば、鍾品亮がどんなに横柄でも、所詮は学生に過ぎず、その振る舞いも学校内のものだけだと思っていた。

しかし康曉波の話によると、こいつらは街のチンピラとも繋がりがあり、負けそうになると外部の助っ人を呼ぶらしい。

「もちろんあるさ。うちの学校の四大悪少の一人、鄒若明の兄貴なんかヤクザだぞ!」

康曉波は言った。「この前、第二中学の番長と喧嘩した時も、兄貴を呼んできたんだ!やべぇよ、兄貴は上半身裸で、すげぇ強そうで、体中に刺青入れてて、麒麟の腕彫りまであるんだぜ。手下も鉄パイプと片刀持ってて、第二中の番長なんか喧嘩始める前から怖気づいて、土下座して許しを乞うたんだぜ!」

林逸は話を聞くにつれて眉をひそめた。まさかこんな学生がそこまで横暴だとは思わなかった。これは予想外だった。昨日の懲らしめは軽すぎたのかもしれない。

「行こう、中休みの体操の時間だ。歩きながら話そう」