黒豹兄が倒れると、鍾品亮も、高小福も、張乃炮も、黒豹兄の手下二人も呆然となった!
さらに呆然としたのは鄒若明の一味だった!
鄒若明は目の前で起きていることを信じられない様子で見つめていた!
黒豹兄がこんなにあっさりと倒されるなんて?
他の者は黒豹兄の実力を知らないかもしれないが、鄒若明は知らないはずがない。
黒豹兄は相当な実力者で、自分の兄貴でさえ黒豹兄の相手にはならないほどだ。そんな恐ろしい存在が、林逸にいとも簡単に倒されてしまった。しかも相手は全く力を使っていないようだった。
「くそっ、こんなことってあるのか?」
鄒若明の手下の一人が目を見開いて叫んだ。「あいつ、犬の糞みたいなラッキーを引いたんだろう?なんて運のいいやつだ!」
しかし鄒若明は首を振った。彼は馬鹿ではなく、むしろ頭の回転が速い方だった。林逸が運良く黒豹兄を倒したとは思えなかった!
黒豹兄はどんな人間か?
喧嘩を飯の種にしている男だ!
何年もの間「戦場」で這いずり回ってきた男が、運任せで倒されるわけがない。
もしそんなことがあれば、とっくに事故死していただろう!
つまり、実力は実力なのだ。今になって鄒若明も分かった。今朝のバスケットボールの一件も、無駄ではなかったと。
この黒豹兄は自分よりもっと悲惨だ。あの様子では、もう立ち上がれないだろう。
案の定、林逸は黒豹兄の命を取るつもりはなかったが、簡単には許すつもりもなかった。
この一蹴りで、骨盤は粉砕こそしなかったものの、骨折は確実だった。病院で一ヶ月は寝込むことになるだろう。
「黒豹兄!」
黒豹兄の手下二人は、林逸がこれほど手強い相手だとは思わなかった。いきなり彼らの大将を倒されて、目が血走り、二人して林逸に向かって詰め寄ってきた。
林逸はうんざりしていた。今日は間操の初日で、きちんと学ぼうと思っていたのに、こんな連中に邪魔されるとは。
「あいつを殺せ!」
黒豹兄は何度か体をよじったが、下半身の激痛に耐えきれず起き上がれなかった。それでも歯を食いしばり、目に殺気を宿らせた。
長年こんな屈辱は味わったことがない。それが今日、一人の学生に大恥をかかされた。これは彼には耐えられないことだった!
今日は決着をつけなければならない。もし林逸をこのまま好き勝手にさせておけば、黒豹兄の威信は地に落ちる!