第133章 纏われる唐韻

火曜日の朝、林逸は楊懷軍との約束があったため、福おじさんの車に乗るのは適切ではなかった。

今のところ、林逸は楊懷軍に自分の現状を知られたくなかった。彼らの心の中で神のような存在である「鷹」がここでお嬢様と家ごっこをしているなんて...これは少し恥ずかしい話だった。

林逸は今になって、家の親父に騙されたと強く感じていた。この任務は、一生食っていけるのだろうか?

今でも、林逸は一体何をすべきなのかわからなかった。

しかも、昨日の朝、車に乗っているところを康曉波に見られて疑われていた。このまま続けば、きっと問題が起きるだろう。

自分のことはどうでもいいが、問題は二人の女の子が文句を言い出すかもしれないことだった。

そのため、楚夢瑤と陳雨舒の朝食を用意した後、メモを残して、用事があるので先に行くと伝え、福おじさんの車には乗らないことにした。

高級住宅街を出た林逸は、実際どう行けばいいのかよくわからず、左右を見回しても、タクシーの姿は一台も見当たらなかった。

林逸は呆れた。さすが高級住宅街だ。ここに住んでいる人は、誰もが何台も車を持っているのだから、タクシーが客待ちをしているはずがない。

林逸は仕方なく徒歩で進み、かなり歩いて通りの角まで来ると、ようやくバス停を見つけた。

ここには一路線しかなく、市内観光バスという環状線だった。路線図を見ても松山第一高校の停留所はなく、乗ってから聞いてみて、必要なら途中で乗り換えるしかないようだった。

市内観光バスは速かった。すぐに一台来て、林逸は乗車し、料金を支払って運転手に尋ねた。

やはり松山第一高校には停留所がなく、まったく別の路線で、景泰マーケットで87番のバスに乗り換えて初めて松山第一高校に行けることがわかった。

市内観光バスにはあまり乗客がいなかった。このバスはあまり便利な場所を通らないうえ、運賃も高く、他のバスが1元なのに対して3元もした。

景泰マーケットに着いて降車すると、バス停には確かに87番バスの路線図があった。

ここは先ほどの高級住宅街の停留所とは違って、多くの人が待っていた。老若男女がおり、通勤通学の人々のようだった。

バスが一台停まるたびに大勢の人が押し寄せて乗り込んでいったが、それでもバス停の人は減る気配がなく、乗る人が多い一方で、新たに待つ人も後を絶たないようだった。