ここまで考えると、關學民は思わず林逸を深く見つめ、先ほどの不謹慎な考えを恥じた。
しかし、醫師というものは大胆なものだ。關學民の進歩的な考えも無理はない。
「ああ、しばらくやっていた」
林逸は頷いて言った。「だから私の隊員に代わってお礼を言わなければならない」
「林さんがそうおっしゃるなら、遠慮なく。書斎へどうぞ。医学について幾つか難しい問題があるので、ご教示いただければ...」
關學民は言った。
「林逸か逸くんと呼んでください。林さんは少し違和感があります」
林逸は言った。「ご教示なんて、お互いに意見を交換しましょう」
「よし、では私も図々しく逸くんと呼ばせてもらおう。そうしたら君も關院長なんて呼ばずに、関おじいさんか関老と呼んでくれ。院長なんて呼ばれると恥ずかしくなる」
關學民も遠慮はしなかった。結局、年齢がそこにあるのだから。
世代的に言えば、自分は楊懷軍の目上であり、林逸は楊懷軍と同世代だから、自分を関おじいさんと呼んでも損はない。
「では関おじいさんと呼ばせていただきます」
林逸も気さくに答えた。
林逸は傲慢な人間ではない。人が一尺の敬意を示せば、一丈を返す。相手が丁寧なら、自分はより一層敬意を示す。
二人は書斎に入った。楊懷軍は医術を知らないので、入っても意味がない。彼は今回ただの仲介役に過ぎず、今や任務は完了したので、することは何もない。
「関おじいさん、林逸、お二人でゆっくり話してください。私は外でテレビでも見ています」
楊懷軍は書斎に入らず、入り口で言った。
「そうだな。自分の家のようにくつろいでくれ。何か食べたければ台所から取ってくれ」
關學民は頷いた。この場面で楊懷軍が興味を持てないことは分かっていた。
關學民の書斎は、濃厚な学者の雰囲気に満ちていた。両側には長い本棚があり、医学関係の書籍が所狭しと並んでいた。漢方医から西洋医学まで、線装本の手書き本から外国語の原著まで、ありとあらゆるものがあった。
「笑われてしまいましたね」
林逸が本棚を見回しているのを見て、關學民は笑って言った。「多くの本は見かけ倒しで、買って軽く読むのはいいですが、本当に何かを学ぶのは難しい」
「黃帝内経はいいですね。私も最初に学んだ時はこの本でした」
林逸は頷きながら、本棚の片側にある数冊の本を指さして言った。