「軍兄さん、私は關院長と學海書店で一度お会いしたことがあります」
林逸は楊懷軍に説明して笑いながら言った。「その時、医学についての話をしました...ああ、そうそう、あの日あなたのところから帰って、あなたの治療法について考えていた時、いくつかの漢方薬の性質と薬理作用がはっきりと思い出せなくて、参考書は実家に置いてきてしまったので、書店で調べに行ったんです」
「そうか、君は關おじいさんと知り合いだったのか。それは良かった。紹介する手間が省けるな」
楊懷軍はほっと胸をなでおろした。
これで、彼の紹介者としての役目も果たせた。二人が既に知り合いなら、より打ち解けて話ができるだろう。
楊懷軍は林逸の言葉に特に何も感じなかったが、關學民の耳には衝撃的に響いた!
彼は当初、林逸がこれほど若いのだから、きっと隠れた漢方の名門の出身に違いないと思っていた。そうであれば、いくつかの失伝した古の処方を持っているのも当然だと。
しかし林逸は書店に行って、楊懷軍の処方のために資料を調べたというのだ。これは驚くべきことだった!
つまり、処方は完全に林逸自身が考案したもので、既存のものを使ったわけではない。これだけでも、林逸の漢方医学の研究がどれほどの域に達しているかが分かる。
ただし、薬性さえよく理解していないのに、書店で調べてから処方を書き、人に薬を使うなんて、あまりにも大胆すぎるのではないか!
楊懷軍もよくそれを信じ、服用する気になったものだ。この二人は一体どういう関係なのか?
關學民は長年の経験から、林逸と楊懷軍が来た時の細かな動作や態度で、この二人の関係が浅くないことを察知していた。
しかし具体的にどういう関係なのか、關學民にも推測できなかった。
ただし薬効から見ると、林逸の処方は確かに楊懷軍に効果があった。これこそが關學民を最も驚かせた点だった!
どうやら、林逸は一族の処方に頼っているわけではなく、本当に実力があるようだ。そうなると、今日の面会は期待できそうだ。
「申し訳ない、申し訳ない」
關學民は少し恥ずかしそうに首を振った。「あの時、私の中醫學院を受験するように勧めたけれど、うちの學院には君を教えられる人はいないね。むしろ君が我々の教師になる方がふさわしいくらいだ!」
「いえいえ、關院長、冗談を」