馮子牧がこれほど驚いたのには理由があった。宗主が就任してから八百五十九年間、一人の弟子も取らなかったのに、今突然蘇軽音を直々に弟子として迎え入れたのだ。
非常に唐突だった。
何の前触れもなく。
「これは大事だ」
馮子牧は深く息を吸い、重々しく言った。「齊明、今すぐ蘇軽音の詳細な状況を師に話してくれ」
「まもなく、この件は天啓宗全体に広まるだろう」
「はい」
齊明は頷き、すぐに蘇軽音のことを詳しく説明し始めた。
「土木双霊根、建木仙體か」
馮子牧は頷き、しばらく考えてから言った。「天賦は確かに高い。霊根と體質の両方の資質が第四等級に達している」
「心性は平凡だがな」
「だが、これだけでは宗主の注目を引くには不十分だ」
「弟子もそう思っておりました」
齊明が言った。
「宗主の事は我々には関与できない」
馮子牧は言った。「宗主には宗主なりの判断があるはずだ」
「はい」
齊明たちは頷いた。
「師は先に戻るとしよう」
馮子牧は言った。「齊明、お前は今回よくやった。他の十一峰の真傳弟子たちを抑え、青雲峰の名を上げた」
「これからも天啓盛會をしっかり取り仕切るように」
「師のお褒めの言葉、恐縮です」
齊明は言った。「これは弟子の務めです」
その後。
馮子牧は去っていった。
他の三人の真伝長老、つまり蘇子旭たちは馮子牧から宗主が弟子を取ったことを聞き、全員が驚いた。
そして。
彼らは各峰に戻り、この件を伝えた。
間もなく。
宗主楊厲が蘇軽音を弟子として迎え入れたというニュースは、極めて短時間で天啓宗の上層部に広まった。
かなりの波紋を呼んだ。
様々な議論が交わされた。
多くの人々が、蘇軽音とは一体どのような身分や来歴を持ち、どれほどの資質を備えているのか、なぜ宗主に直々に弟子として選ばれたのかを推測していた。
時は流れ。
夕暮れ時。
天啓盛會は徐々に終盤を迎え、蘇軽音が楊厲に連れて行かれた後、虞雪蘭が完全に天啓盛會の焦点となった。
なぜなら。
虞雪蘭は続く三つの試験において、悟性が第四等級の絶世の程度に達し、根骨も同様に第四等級の潛龍のレベルに達していたからだ。
最後の項目。
「福縁秘境」の中で。
彼女が試された「福縁」のレベルは三彩位に達していた。
つまり。
虞雪蘭の資質は。