第77章 通りすがり！

霍青松は呆気に取られた。

范南星は罪を問いに来たのではなく、謝罪に来たのか？

そういえば、范南星の様子はどこか狼狽えていて、怪我をしているようにも見えた。

彼が去った後、一体何があったのだろう？

萧塵は平然とした表情で范南星を見つめ、尋ねた。「葛川の仇を、もう討たないのか？」

「葛川は先生に無礼を働き、死んで当然です。そもそも先生のせいではありません。私が余計な口出しをしてしまいました」

范南星は常々葛川の人となりを知っていたので、霍青松と孟小媛の言葉を疑うことはなく、葛川が先に萧塵に手を出したのだと理解していた。

しかし、星武協會の會長として、時には板挟みになることもある。

もし葛川がこのように殺されたままにしておけば、星武協會の名声が傷つき、配下の者たちも納得しないだろう。

だから何としても、萧塵と会って話をつけなければならなかった。

しかし、萧塵は彼が太刀打ちできる相手ではなかった。

彼が萧塵に武術の勝負を申し込んだとき、萧塵は時間がないのではなく、そもそも興味すら示さなかったのだ。

玉のペンダントに込められた一筋の剣意だけで自分を打ち負かした者が、一体どれほどの深遠な修為に達しているのか、想像すらできなかった。

「そこまで言うなら、この件はここまでだ。謝罪する必要もない」

萧塵は葛川を殺したことに何の問題も感じていなかった。もし星武協會が追及するなら、恐れることはない。

しかし、この范南星という人物は物分かりが良く、諦めも早い。このような形で決着がつくのが最良の結果だった。

「ありがとうございます！」

范南星は立ち上がり、心の中でほっと胸を撫で下ろした。

霍青松は興奮気味だった。

范南星とはどんな人物か？

江南省では、葛川が十人いても范南星の影響力には及ばない！

しかし今、萧塵は葛川を殺したにもかかわらず、范南星は追及するどころか、萧塵の前に跪いて謝罪している？

これが広まれば、各大家族は必ず震撼するだろう。

「范南星、お前は江南一の高手だと聞くが、本当か？」萧塵が突然尋ねた。

范南星は冷や汗を浮かべながら答えた。「先生の前で、私如きが高手を名乗る資格などございません」

「私以外の話だ！」

「それは...必ずしもそうとは限りません！」