「萱穎……あれ、何してるの?告白?あ、ごめんなさい、私が無神経で邪魔しちゃった?」
寧芷蘭は可愛らしい表情で、とても無邪気な様子だった。
「そんなことないわ!」林萱穎は心の中で、よく来てくれたと思った。このまま終わらせる方法が分からなかったから。
向子玉は心中では不快だったが、寧芷蘭という愛嬌を振りまく少女に対して、どうすることもできなかった。
彼は寧芷蘭がわざと邪魔しに来て、可愛く装っているのではないかとさえ疑っていた。
「大丈夫だよ、芷蘭妹、気にしないで!」向子玉は紳士的な態度を保ちながら微笑むしかなかった。
「そうだ芷蘭、突然私を探しに来たけど、何かあったの?」
林萱穎は話しながら、寧芷蘭に目配せをした。
その意味は、用事がなくても何か理由を作って、私が抜け出せるようにしてほしいということだった。
「もちろん用事があるわ。あなたのネット友達が探してたから、連れてきたの」
「ネット友達?」
林萱穎は驚いた。嘘を作ってほしいとは思ったけど、こんなに大げさな嘘じゃなくても...どこにネット友達なんているの?
「ほら、この人よ!」寧芷蘭は外側に立っている萧塵を指さした。
その瞬間、群衆が散り、全員の視線が萧塵に集中した。
「あなた...」
林萱穎は呆然と萧塵を見つめた。
萧塵はこの時、遠回しな言い方をせずに直接前に進み出て、淡々と言った。「おじいさんに会いたい」
林萱穎は我に返ったように言った。「分かったわ、案内するわ!」
萧塵をおじいさんに会わせることは、もはや向子玉から逃げる口実ではなく、彼女自身が萧塵に助けを求めたかったからだった。
実は最近、彼女はずっと蘭寧市に行って萧塵に助けを求めようと考えていた。今、萧塵が自分から来てくれたのだから、このチャンスを逃すわけにはいかなかった。
「待て!」
向子玉はもう我慢できず、表情が険しくなった。
寧芷蘭が林萱穎を探すのは問題ない。結局、彼女は林萱穎の親友なのだから。
しかし萧塵のような素性の分からない人物には警戒せざるを得なかった。
「萱穎、この人は誰だ?」
「私の友達よ!」林萱穎は答えた。
「彼は燕京の人間じゃないだろう。見たことないぞ!」向子玉は萧塵を一瞥しながら言った。