第143章 神医の戴冠式!

部屋の中で、蕭塵は林興城に背を向けて、手を後ろに組んで立っていた。

林興城は我慢できず、おそるおそる尋ねた。「若者よ、先ほど使われたのは、本当に『醫典』に記されている一指通玄の境なのですか?」

「そうかもしれないし、そうでないかもしれない。神醫である貴方なら、すでに答えはわかっているはずです。なぜ改めて聞く必要があるのでしょうか?」蕭塵は淡々と答えた。

林興城は一瞬戸惑い、「ただ信じられないと思っただけです。『醫典』には名前だけが記されていて、詳しい説明は一切ないのですから!」

蕭塵は少し沈黙した後、言った。「実は、貴方が持っている『醫典』は不完全な本、というか上巻だけなのです。」

「何だって、不完全?」

林興城は驚愕した。

しかしすぐに疑問を呈した。「では、なぜ貴方がそれを知っているのですか?師匠は私に何も言っていませんでした。恐らく師匠自身も知らなかったはずです。」