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第3篇 黒甲軍統領 第10章 黒影馬

練兵場で、黒甲軍の兵士たちが三々五々と小声で議論していた。

「百人隊長の選抜、終了!新たな八名の百人隊長は、滕青山、牛展、公羊慶、洪興陽、岳松……」黒衣の老人が高台から、勝利した八人の名前を続けて読み上げた。

「八名の百人隊長、前に出なさい」黒衣の老人が大声で言った。

滕青山ら八人は、並んで前に進んだ。

ドン!ドン!ドン!

重鎧を着けた八頭の青鬣踏雪馬が、八名の黒甲軍の軍士によって引かれてきた。それぞれの青鬣踏雪馬の鞍には、暗赤色の赤鐵の重鎧が置かれていた。

「我が黒甲軍の百人隊長には、一人につき青鬣踏雪馬一頭と赤鐵の重鎧一式が与えられる。武器については、自前のものを使用するか、宗派に要求するかは自由だ」黒衣の老人は冷淡に言った。

「滕青山」黒衣の老人は突然滕青山を見た。「お前は、今日から我が黒甲軍第一領、第三都督配下の槍兵隊の百人隊長となる!」

「はい!」滕青山は大声で応じた。

「戦馬と重鎧を受け取れ!」黒衣の老人は冷淡に言った。

すぐさま傍らの黒甲軍の軍士が、青鬣踏雪馬を滕青山の側まで引いてきた。滕青山は厳かにその青鬣踏雪馬と赤鐵の重鎧を受け取った。「黒甲軍は本当に豪勢だな。百人隊長に青鬣踏雪馬と赤鐵の重鎧を与えるとは」

青鬣踏雪馬は青鬃馬の王者であり、価値は五千両の銀に相当する。

赤鐵の重鎧も、青鬣踏雪馬に劣らない価値がある。

戦馬の身に着けている重鎧まで含めると、この装備だけで一萬両以上の価値がある。贅沢と言わざるを得ない。

「牛展!」黒衣の老人は再び口を開いた。「お前は、今日から我が黒甲軍第三領地、第一隊長配下の……」

……

八名の百人隊長が全て戦馬と重鎧を受け取り、下方の大勢の黒甲軍の軍士たちは羨ましそうな目を向けていた。

「百人隊長の選抜は終了。敗れた九名の一流武士は直接伍長となる。これより伍長の選抜を開始する」黒衣の老人は淡々と言い、その後席に戻った。この伍長選抜は、彼第一統領にとって見るに値しないものだったようだ。

百人隊長の選抜戦と比べると、伍長選抜の戦いの規模は明らかに小さかった。

しかし練兵場全体は、より一層賑やかになった。