地面で必死に哀願する國王を見て、朱天涯の目の奥に一瞬の憐れみが閃いた。
しかし先日の一族抹殺の勅旨を思い出すと、その目に宿った柔らかさは決意に取って代わられた。
他でもない。たとえ國王が悔い改め、朱家が権勢を極めたとしても、君主の心は測り知れず、数十年後、あるいは数百年後に朱家が再び一族抹殺の運命に直面しないとも限らない。
人の肉となれば、結局は屠られる運命から逃れられない。朱家が自らを守り、安定して発展していくためには、自立するしかない。彼に取って代わるしかないのだ。
これは朱家のためだけでなく、夏の国の民全体に対する責任でもある。結局のところ、この数代の國王の親政以来、彼らは遊興にふけるばかりで、民衆は搾取され、飢え死にする者は数知れない。
このままでは、朱家の先祖が築き上げた大きな国土も皇室によって完全に蕩尽されてしまうだろう。
そう思い至った朱天涯は、身を震わせ、直ちに國王を振り払い、深く息を吸って言った。「皇德よ、勅を下せ。子明がお前に封地を与え、逍遙王様として封じよう。その爵位は三代まで継承できる。お前が自分の子孫をよく教育すれば、夏の国の朝廷にはお前たち皇家の血筋が存在し続けることになる。」
この言葉を聞いて、皇德は死人のように青ざめた。
彼は分かっていた。朱天涯がそう言い出した以上、もはや逆転の余地はないことを。
皇德が口を開いて承諾しようとした時、ずっとその場に立ち尽くしていた紫羅が突然彼の傍らに来て、皇德の腕に手を回し、激しい口調で言った。「王様、彼らと戦いましょう。この反逆者どもは、皆死に値します。」
この言葉を聞いて、皇德は躊躇した。
承諾すれば、一代の逍遙王様として、場所が変わるだけで全てが今までと同じように続く。
承諾しなければ、朱天涯の実力と朱子明が掌握する朱雀軍のことを考えると、死あるのみだと分かっていた。
場内の空気が沈んでいる時、朱天篷の両目から無限の神光が放たれ、紫羅を一瞥した後、口角に冷笑を浮かべて言った。「たかが狐の里の者が、本元帥の前で芝居を打つとは。本当に私がお前を殺さないと思っているのか?」
この言葉に、場内は騒然となった。
皇德でさえ思わず十数丈後退して紫羅との距離を取り、その濁った目に恐怖と驚愕の色が浮かんでいた。
狐の里!
この言葉は、天下の君主たちにとって悪夢のような存在だった。
古の時代、一代の商王様が天下を統べていた時、最後には商朝が狐の里の妲己の手によって滅ぼされたではないか。
周天下以来、狐の里は人類の公敵となり、今日に至るまで代々の家訓として残されている。その中で最も重要なものは:狐の里を見つけたら、容赦なく殺せ!
これを見ても、帝王の家が狐の里に対して抱く敵意と恐れが分かるだろう。
紫羅の顔色も幾分蒼ざめたが、何かを思い出したようで、すぐに可憐な様子を装い、涙を浮かべて言った。「王様、妾がどうして狐の里の者でしょうか。この者は必ず嘘を言っているのです。王位を譲らせようとして、あなたを欺こうとしているのです。」
この様子を見て、國王は躊躇い、目を紫羅と朱天篷の間で行き来させ、真偽を見極めようとしているようだった。
しかし朱天篷にはもはや待つ忍耐はなかった。たかが一匹の狐の里の者が自分の前で是非を弄するとは、まさに死を求めているようなものだ。
そう思うと、朱天篷はすぐさま紫羅宮に禁制術を張り、右手を振ると金炎が飛び出し、直接紫羅に向かって打ち込まれた。
轟——
次の瞬間、金炎は紫羅の体で炸裂した。
凄まじい悲鳴が上がる中、紫羅の姿は変化し、三本の青い狐尾が背後に現れ、尖った牙と毛むくじゃらの耳を持つ姿となり、今は地面で転げ回っていた。明らかに金炎の威力に死の恐怖を感じていた。
この光景を目にして、朱天涯たちは思わず息を呑み、驚いて叫んだ。「本当に狐の里の者だったのか!」
夏の国の國王はさらに死人のように青ざめ、記録にある商朝の滅亡を思い出し、その場に崩れ落ち、目には後悔と恐怖と悔恨の色が絶えず浮かんでいた。
この時、金炎の焚寂の下、紫羅は本体を維持するのも非常に困難で、すぐさま命乞いを始めた。「大仙様、小狐が間違っておりました。しかしこれは全て娘娘様のお命令なのです。夏王様が進取の気性に欠け、夏の国は滅ぶべきだと。これは天意であり、天意は逆らえないのです……」
「娘娘様?」
紫羅の言葉を聞いて、朱天篷は眉をひそめた。
妖の國の者から娘娘様と呼ばれる存在は、この天下でたった一人しかいない。
そう思うと、朱天篷は思わず天空界を見上げ、表情が絶えず変化した。
しばらくして、朱天篷が我に返り、金炎を収めてこの狐の里の者に詳しく問おうとした時、突然強大な法力が天から降り注いだ。
朱天篷の張った禁制術は紙のように粉砕され、紫羅宮は瞬時に廃墟と化し、金炎に焼かれていた狐の里の者は魂も消え散り、残されたのは三本尾の青狐の死体だけだった。
これら全てを為し終えると、その強大な法力は煙のように消え去った。
朱天篷も廃墟から這い出るのがやっとで、口角の血を拭い、何か言おうとしたが咳き込んでしまった。「ゴホッ、ゴホッ——」
しばらくして、やっと朱天篷は体内の状態が良くなったのを感じ、血の混じった唾を吐き出した後、天空界を見上げ、九重天を突き抜けて無辺の混沌を見ようとするかのように、拳を握りしめ心の中で歯ぎしりした。「いつか必ず、この一撃を返してやる。」
さらにしばらく回復してから、朱天篷は小千世界を開いて朱天涯、朱子明、皇德、そして禁衛軍の長を出した。
彼らが現れると、まず廃墟と化した紫羅宮を驚愕の目で見つめ、それから視線を朱天篷に向け、心配そうに前に出て尋ねた。
「伯父上、今何が起こったのですか?」
「従兄、大丈夫ですか?」
「仙長様、あの狐の里の者はどうなりましたか?」
これを聞いて、朱天篷は手を振り、恐怖に満ちた表情の皇德を見て言った。「ほら、あれがお前の愛妃紫羅だ。彼女は狐の里の者だった。恐らくお前だけでなく、前の数代の君主も狐の里の者に惑わされてこのような事態になったのだろう。」
少し間を置いて、朱天篷は言った。「天涯、このような事は君に任せた。私はしばらく養生に行く。」
言い終わると、朱天篷はまた血を吐いた。聖人のあの一撃は受け止めるのが容易ではなかった。もし彼が天罡三十六変を修得していなかったら、そしてさっきの一撃が聖人の一時の思いつきに過ぎなかったとしても、恐らく彼もあの狐の里の者と共に死んでいただろう。
これを聞いて、朱天涯は頷き、言った。「分かりました、従兄。ゆっくり休んでください!」
頷いて、朱天篷は流雲遁術を使い、直接夏の国を離れ、霊気の豊かな山頂で傷を癒すことにした!