蘇乘羽は額を叩きながら、かなり困惑した様子で、昨夜のぼんやりとした出来事の全てを突然理解した。あの豊かな霊気は、おそらく林初雪から来ていたのだろう。
蘇乘羽は以前、修真の雑談本で読んだことがあった。人は万物の霊長であり、長い歳月の中で、天賦の才を持つ者たちが修行の法を探り出し、天道を探求し、強大な力を追い求め始めた。
この世の衆生は、人間だけが修行の能力を持つわけではなく、遠古の時代には、神魔の時代があり、強大な神魔や妖族が誕生した。
これらの神魔は、山を動かし海を埋め、風雨を呼び寄せる術を持っていた。その時代は、まさに群魔乱舞、神妖が共存する時代だった。
遠古の神魔時代が終わり、人類が再び繁栄する中で、修真の天賦を持つ者の他に、古の神の血脈を持つ神の末裔や、妖魔の血脈を持つ妖魔の末裔といった特殊な人々も存在した。
神魔の末裔は、生まれながらにして強大だった。
しかし時が流れるにつれ、これらの神魔の末裔の血脈も次第に薄まり、もはや強大ではなくなったが、その代わりに十大先天霊体が誕生した。
先天霊体には、強大な霊韻が蓄えられており、修真者にとって、霊韻は最も純粋な補薬であり、双修することで、修真者に巨大な利点をもたらした。
そしてこれらの先天霊体を持つ者たちは、一度開悟入道して修行を始めれば、驚くべき才能を持つ修行の天才となった。
昨夜のあの豊かで純粋な霊気を思い返すと、それは先天霊体の霊韻だったのだろう。そうでなければ、林初雪と一夜を共にしただけで、彼が鬼門関から這い上がり、さらに境界を突破することはなかっただろう。
ただ残念なことに、林初雪の先天霊韻のほとんどは蘇乘羽の身体の損傷を補うために使われてしまい、蘇乘羽は昨夜意識が朦朧としていたため、双修の功法を運転することができず、この霊韻を無駄にしてしまった。そうでなければ、彼は煉気境第四層、あるいは第五層にまで到達できた可能性があった。
太上道経には、『極陽玄牝訣』という修真法訣があり、これは双修の法訣で、蘇乘羽はそれを完全に暗記していた。
道経には、玄牝の門は天地の根であり、綿々として存在し、用いても疲れることがない。玄牝の門は万物を生化し、生々不息、万物はすべて玄牝の門から孕育されると書かれていた。