第二章　その四

彼女の両手はタバコを吸うせいで指の間がタバコと干し肉のような臭いがした。普段から白酢に漬けて手入れをするのが好きなため、その臭いはより刺激的だった。

人が傍に立っているだけでも匂いがわかるほどで、これを近くで嗅いだら、普通の失神状態なら目が覚めてしまうかもしれない。

劉金霞はしばらく様子を見てから尋ねた。「桂英侯、呼んでみたの？」

「ええ、呼びました。」崔桂英はすぐに針を水に入れた茶碗を持ってきたが、自分で驚いて「あっ！」と声を上げた。

茶碗の中の針は錆びていただけでなく、赤錆が出て、底の部分に針を中心として広がっていた。

傍にいた李菊香はそれを見て、すぐに母親の耳元で状況を説明した。

劉金霞は話を聞き終わると、深いため息をつき、深刻な表情で言った。「妹よ、この子は祟られているわ。」

「えっ？」崔桂英はまた驚いて、すぐに懇願した。「助けてください。助けてください。私の娘の一人っ子なんです。私のところで預かっているのに、何かあってはいけませんわ。」

そう言いながら、崔桂英はポケットからタバコを取り出し、劉金霞に差し出した。

劉金霞はそれを押しのけ、ため息をついた。

崔桂英：「まずこれを吸ってください。お礼はあとで…」

劉金霞は崔桂英の言葉を遮った。「あなたの家のものは受け取れないわ。受け取ったら、手が焼けそうだわ。」

「お姉さん、そんなこと言わないでください。私の孫が…」

劉金霞は自分の娘の方を向き、苦笑いしながら言った。「聞いたでしょう？漢おじの大好きだった娘の息子よ。」

「蘭侯の息子ね。」李菊香は少し間を置いて付け加えた。「蘭侯は昔、私と仲が良かったの。」

蘭侯とは李蘭のことで、李追遠の母親だ。

あの頃、村の人々は劉金霞の家を縁起が悪いと思っていて、親たちも子供たちに李菊香と遊ばないように言いつけていた。そのため、李菊香の子供時代は孤独で、他の子供たちのように自由に走り回ることができなかった。他人の家に行くと、大人たちに白い目で見られたからだ。

李蘭はそんなことを気にせず、よく彼女を遊びに誘ってくれた。二人の友情は李蘭が大学に合格して村を離れるまで続いた。

劉金霞は目を閉じ、黙り込んだ。

李菊香は李追遠を見ながら、崔桂英に言った。「この子、本当に可愛いわね。蘭侯にそっくりだわ。」

崔桂英は二、三度頷いたが、注意は依然として劉金霞に向けられていた。彼女には劉金霞が本当に断っているのか、それとも値を吊り上げているのかわからなかった。

李菊香は続けた。「翠侯ちゃんが一昨日言っていたわ。遠侯ちゃんというお兄ちゃんがチョコレートをくれて、一緒に小川で石を拾って遊んだって。」

李菊香は子供の頃から孤立されていたが、今では彼女の娘の李翠翠はもっとひどい状況だった。普段は、娘は遠くから他の子供たちが一緒に遊んでいるのを見ているだけだった。

翠翠は近づく勇気がなかった。近づけば、子供たちは家の大人に君と遊んではいけないと言われていると言って、みな一斉に逃げてしまうからだ。

一昨日の翠翠は家に帰ってきてとても嬉しそうだった。とてもかっこいいお兄ちゃんが午後ずっと一緒に遊んでくれたと言っていた。他の子供たちが彼に彼女と遊んではいけないと言ったのに、そのお兄ちゃんは気にせず、チョコレートまでくれたという。

劉金霞は目を開け、とても無力そうで心を痛めるような目で自分の娘を見つめ、そして、崔桂英の方を向いた。

「妹よ、はっきり言わせてもらうわ。」

「ええ、どうぞ。」

「普通なら、二十件の仕事のうち十五件は何でもないの。私は形だけの儀式をして、人々を安心させるだけ。

「残りのうち四件は、少し問題があるように見えても、結局は大したことなかった。

「だから、せいぜい一件だけ、本当に少し厄介な問題があるけど、それも対処できないほどではない。

「あなたからお金は受け取れない。一つには、あなたの夫が昔、私たち母娘を助けてくれたから。二つには、普段の形式的な報酬も、こういう事態の前では意味がないから。」

「でも、この子を、助けてください。お姉さん。」

「助けるわ。」劉金霞は微笑んで言った。「竈の線香の灰を少し持ってきて。」

「はい。」

この地方の土竈には多くの凹みがあり、その一つは竈の後ろにあって、上には竈神様が貼られており、凹みの中には小さな香炉が置かれていた。

崔桂英は香炉を取り、劉金霞の前に持ってきた。

劉金霞は線香の灰を一掴み取ると、手の中握りながら何かを呟いていた。

何を唱えているのかはわからなかったが、かなりの時間続いた。

劉金霞：「覆いなさい。」

崔桂英が理解する前に、李菊香が先に李追遠の口と鼻を手で覆った。

劉金霞は線香の灰を子供の首と肩に塗り始めた。あたかもベビーパウダーを塗るかのように擦っていた。

しかし徐々に、恐ろしい光景が現れ始め、崔桂英は思わず自分の口を手で覆った。

なぜなら、孫の肩に紫色の跡が二つ現れたのを見たからだ。まるで二つの手形のように！

劉金霞：「とても凶暴ね…娘よ、始めましょう。」

「はい。」

李菊香は返事をすると、外に出て三輪車から何かを取ってきた。彼女はまず空の茶碗と筆を劉金霞の手に渡し、茶碗に墨を注いだ。そして、ポケットから赤い糸の玉を取り出した。毛糸編みに使うようなものに見えたが、ほどくと生臭い匂いが漂い、李菊香の手のひらにも赤い跡が残った。

そして、李菊香は赤い糸の一端を自分の手首に結び、もう一端を李追遠の手首に結んで、少し距離を置いて立ち上がった。

劉金霞は筆に墨を含ませ、李追遠の額に円を描き続けながら、何かを唱え続けた。

最初は何も変わったことは起こらなかった。

しかし劉金霞の声と手の動きが速くなるにつれ、赤い糸が震え始めた。