第9章

昼に思うことは夜に夢見るのだろうか？

この二日間、彼女の姿を目に焼き付けすぎて、まるで筆洗のように使っていたからな。

しかし、

次の瞬間、

堤防に立つ秦璃が顔を上げ、テラスに立つ李追遠を見つめた。

二人の視線が初めて交差した。

李追遠は理解した。彼女は自分の夢の中の存在ではなく、彼女が自分の夢に入り込んできたのだと。夢は現実の投影であり、彼女の静止画像が習慣となっていた以上、夢の中でも余計な動きをさせるべきではなかった。

いや違う...

李追遠は眉をしかめ、

今回は、

本当に自分の夢なのだろうか？

もしかしたら、自分も下にいる秦璃と同じように、参加者の一人なのではないか？

まだ夢を見る経験が少なすぎて、規則性や経験を十分に把握できていない。自分はまだ本を読み始めたばかりで、しかも入門レベルの科学啓蒙書だ。

まるで目の前に問題が置かれているのに、その問題の意味さえ理解できないようだ。

もしかしたら、

秦璃は何か知っているかもしれない？

彼女が自分を見つめてきたのだから、話しかけてくれることも期待できるのではないか？

しかし、今一階は騒がしく、階段を降りて一階を通り抜けるのは無理だ。

二階のテラスはそれほど高くないが、この小さな体で飛び降りるのは現実的ではない。

これが自分の夢ではない可能性があるため、無謀な冒険をする資格はないのだ。

李追遠はしゃがみ込み、下にいる秦璃に手を振って、近づいてくるように合図した。小声で話ができるかもしれないと思って。

しかし、秦璃が反応する前に、背後の階段から足音が聞こえてきた。

振り返ると、四人のおばあさんがこちらに向かってきていた。彼女たちは派手な色の服を着て、厚化粧で頬紅を塗っていた。

彼女たちも李追遠を見つけ、というより李追遠目当てで来たようだった。

「小僧、何をしているの？宴会が始まるわよ！」

「早く、宴会が始まるから、第一陣で食べなさい。第二陣は待つのよ！」

「そうそう、第一陣で食べ終わったら早く帰って寝なさい。明日の学校に支障が出るわ。」

冠婚葬祭の宴会で、客が多すぎて一度に対応できない場合は、複数の陣に分けて食事をする。第一陣の人々が食べ終わった後、テーブルを片付けて新しい食器と前菜を並べ、第二陣の客を案内する。

「私は...」

断りの言葉を言い終わる前に、一人のおばあさんが李追遠の手を掴んだ。

その瞬間、李追遠は自分の服が消え、青い長衣に変わっていることに気付いた。古めかしいが、色は新しかった。

おばあさんの手の力は強く、李追遠は何度もよろめいた。階段を降りる時、李追遠は彼女の手を振り払おうとした。

彼女の手は白かった。不気味なほどの白さで、しわひとつない。

抵抗を感じたのか、おばあさんは突然立ち止まり、ゆっくりと振り向いた：

「小僧、素直じゃないねぇ。行きたくないの？」

彼女の声はゆっくりと不気味になり、階段の明かりも暗くなっていった。残された僅かな光は、すべておばあさんの顔に集中していた。

李追遠は深く息を吸い、顔に笑みを浮かべた：

「行きます。宴会に。食べに行きます。」

「いい子ね。」

言葉が終わるや否や、階段の明かりが一瞬で元に戻った。

おばあさんは李追遠の手を引いたまま、下へ向かい、一階まで降りていった。

元々、曾祖父の家の一階は純粋に倉庫として使われており、四方の壁も塗装せず、セメントの素地のままだった。

しかし今は、一階全体が提灯や飾りで彩られ、とても祝祭的な雰囲気に装飾されていた。

テーブルが並べられ、それぞれに赤いビニールシートが敷かれ、その上に食器と前菜が並んでいた。

行き交う人々は多く、老若男女様々で、みな派手な新しい服を着て、厚化粧に頬紅を塗っていた。

李追遠はおそらく、彼らが何者なのか分かった。

なぜなら、一階にテーブルや椅子、食器が並んでいるのに、あれほど山積みだった紙人形が見当たらなかったからだ。

おばあさんは李追遠を一階まで連れてくると手を放し、自分の用事に行ってしまった。李追遠が振り返ると、さっき降りてきた階段が...消えていた。

彼はその場に立ち尽くすことなく、入り口へ向かった。曾祖父の家は商品の搬出入を便利にするため、正面の扉を大きく開け放っており、今も扉は外されて完全に開放されていた。

そのため、一階と外の堤防はほぼつながっているような状態だった。

入り口に着くと、李追遠は二人の若い女性が小さな女の子を連れて入ってくるのを見た。その子は秦璃だった。

自分とは違い、彼女の服装は変わっていなかった。おそらく、彼女の服装がここに相応しかったからだろう。

この時、秦璃のまつ毛が震え始め、体も微かに震えていた。

李追遠は、彼女が人を噛もうとしているのではないかと推測した。

彼女を引っ張っていた二人の若い女性も秦璃の様子がおかしいことに気付いたようで、二人とも彼女を見下ろした。同時に、三人が立っている場所の明かりが暗くなり始め、その暗闇は徐々に広がっていった。その中に包まれた他の人々も、それぞれの会話や活動を止め、全員が冷たい表情でこちらを見つめていた。

李追遠は今、確信した。これは自分の夢ではない。

もちろん、秦璃の夢でもない。

自分の夢の中で何か常軌を逸した行動をすると、周囲の環境から反発を受けるなんて聞いたことがない。

これは明らかに誰か他人の夢だ。誰の夢かは分からないが、その存在は夢の中に沈んでおり、夢の中で論理に反する常軌を逸した行動は、その存在を妨げ、目覚めさせてしまうのだ。