葉平はもう確信していた。
自分は隱世門派に出会ったのだと。表面上は平凡に見えるが、実際には一人一人が絶世の高人なのだ。
こういう人々は俗世に飽き、すでに世界の頂点に立っているため、もはや何の楽しみもなく、普通の人を装って刺激を求めているのだ。
もっとも、これは心の中での推測に過ぎず、本当にそうなのかはじっくりと確かめる必要がある。
しかし、この大師兄は間違いなく高人だ。
これが高人でなければ、誰が高人だというのか?
葉平の隠しきれない興奮した様子を感じ取り、蘇長御も自分の誤魔化しが成功したことを悟った。
「よし、葉平よ、私と共に宗門へ行こう。師兄の靜修の邪魔をしてはならぬ」
太華道人が声を掛けた。
葉平はすぐに頷き、再び蘇長御に恭しく一礼した。
そして太華道人について山門へと向かった。
葉平が去った後。
蘇長御はようやく深いため息をついた。
緊張した心も次第に落ち着いてきた。
そして独り言を呟いた。
「天上の劍仙三百万、我を見ても頭を下げねばならぬ、へへ、かっこつけすぎだな」
蘇長御は笑みを浮かべ、道骨仙風の気質は一瞬にして消え去った。
青雲道宗。
葉平は太華道人について歩いていた。
古びた山門、そして香炉に立つ一本の寂しげな線香が、貧相さを物語っていた。
太華道人自身もそれを見て、思わず気まずそうな表情を浮かべた。
しかし葉平は青雲道宗の環境を目にしても、少しも嫌悪感を示さず、むしろ喜色を浮かべた。
これには太華道人も少し戸惑った。
こんな場所でも喜色を浮かべられるとは?
修仙の経験がないのか?
太華道人は心中で疑問に思った。彼は葉平がその場で引き返すことも覚悟していたのに、まさか葉平が喜色を浮かべるとは。今時こんな純朴な修仙の若者がいるとは?
この子は将来有望だ。
太華道人は心の中でつぶやいた。
一方、葉平が喜色を浮かべた理由は単純だった。
これこそまさに隱世門派のやり方ではないか。
異世界者として、葉平は数え切れないほどのウェブ小説を読んできたが、その中で隱世門派の描写は二文字に集約される。
異常!
そう、異常なのだ。
他の宗門は金ピカで豪華絢爛、山門に威厳を刻み付けんばかりだが、本当に強い隱世門派は控えめを好む。
控えめであればあるほど良く、質素であればあるほど良い。一見したところでは、ただのしょぼい宗門に見える。
しかし実際にはこれは一つの試練なのだ。隱世門派が新入門弟子に課す試練。
神話物語でよくあるように、仙人はこういう手法で凡人を試すのを好む。観音菩薩様が破れた袈裟で唐玄奘の栄華を取引しようとした話のように、そんな話は枚挙にいとまがない。
ここまで考えて、葉平が分からないはずがない。
だからこそ葉平は確信を深めた。これこそが隱世門派なのだと。
「葉平、私について来なさい」
太華道人が声を掛けた。
葉平はすぐに頷いた。
そして太華道人について正殿へと向かった。
青雲道宗は一見古びて見えたが、葉平は鋭く一つの違いに気付いた。それは清潔で整然としていることだった。
そう、清潔なのだ。
もし没落した宗門なら、どうしてこれほど綺麗に掃除できようか?
表面上は宗主が来る前に青雲道宗は三流の宗門だと言っていたが、この点から葉平は感じ取れた。この青雲道宗は表面上見えるほど単純なものではないと。
やはり、完璧な隠蔽などない。
彼らは必死に隠そうとしているが、自分の目は誤魔化せない。
葉平は思わず自分の鋭い洞察力に感心した。
二人が正殿に入ると。
太華道人の声が響いた。
「葉平よ、今や汝は道宗に来たのだ。貧道からいくつか言葉を贈らせてもらおう。急いで返事をする必要はない。まずは貧道の話を聞くがよい」
太華道人は自分を師と呼ばず、貧道と称して厳かな様子を見せた。
葉平もすぐに真剣な表情で太華道人を見つめた。
「所謂修仙の道は難しく、青天に登るより難しいと言われる。修行の道は一見平坦に見えるが、実際には茨の道。危険が潜んでいることは言うまでもなく、修行そのものが数十年単位の時を要する。故に、もし本当にこの道を歩もうと思うなら、赤子の心を持ち続けねばならぬ」
「高望みをせず、成果が出ないからといって途中で投げ出してもいけない。志なくして大事を成すことなし。この点をよく考えておくように」
太華道人は非常に厳かに語り、その言葉には言い表せない寂寥感があった。
しかしこれを言うのは、予防線を張っておくためだ。結局のところ、葉平の資質は一目で分かるほど良くない。もし三五ヶ月修練しても靈氣すら感じられず、さっさと逃げ出したらどうするか?
だから先に威圧しておく必要があるのだ。
「弟子は承知しております。修仙の道は本来孤独な道です。仙人が閉関すれば世界は移り変わっているかもしれません。弟子はこの道を選んだ以上、心を落ち着かせ、決して邪念を起こさず、邪道に入ることはありません」
葉平はこの言葉に深く同意した。
多くの小説を読んできて、豚肉を食べたことがなくても豚が走るのは見たことがある。
もし修仙がそんなに簡単なら、誰もが修仙を目指すだろう。
「よろしい」
太華道人は満足げに頷いた。葉平の資質は良くないかもしれないが、この心構えは非常に良い。
以前の新入門弟子のように、修行を始めて数ヶ月も経たないうちに、今日は練氣圓滿、明日は築基完成、明後日には金丹を凝結させ、その次の日には元嬰の老祖になりたいなどと。
まったく夢物語だ。
「汝が寂しさに耐えられるのならば、貧道も言うことはない。しかし葉平よ、最後にもう一度強調しておく。修仙見習い期間中、宗門からの俸給は一切支給されない。正式な弟子となってからのみ俸給が支給される。この点について、受け入れられるか?」
太華道人はより真剣に尋ねた。
同時に、その目には緊張の色が浮かんでいた。
しかしその緊張は見抜きにくく、葉平もそこまで気にしていなかった。
「宗主様ご安心ください。銀両は身外の物です。宗門が修仙を教えてくださることは、すでに大きな恩恵です。弟子がどうして財物を求めることができましょう。かの言葉にもあります。宗門が自分に何をくれるかばかり考えるのではなく、自分が宗門に何を与えられるかを考えよ、と」
葉平は熱く語った。
異世界者にとって、修仙を教えてくれる人がいるだけでも大恩人だ。銀両など、あまりにも表面的すぎる。
「よし!」
太華道人はこの言葉を聞いて、すっかり元気を取り戻した。
葉平のこの言葉は、まさに彼の心を打つものだった。
宗門が自分に何をくれるかばかり考えるのではなく、自分が宗門に何を与えられるかを考えよ。
素晴らしい、素晴らしい。
この言葉は誰が言ったのか?まさに同志ではないか、機会があれば一緒にお茶でも。
太華道人は心中喜んだ。
自分は宝物を拾ってきたようなものだ。
しかしすぐに、太華道人は感情を抑え、葉平を見つめて言った。
「それならば、貧道はお前を弟子として受け入れよう。ただし、今は外部弟子としてだ。正式な弟子となった後に、改めて入門の儀を執り行おう」
太華道人はそう告げた。
「師尊に感謝いたします。弟子は必ず師尊のご厚意に背くことはありません」
宗門に受け入れられたと聞いて、葉平は興奮して一礼した。
「それでは、為師がお前の住まいへ案内しよう。この数日は宗門の環境に慣れるがよい。数日後には、為師が大師兄に修仙を教えさせることにしよう。覚えておけ、急がば回れだ。修行の道は一歩一歩着実に進まねばならぬ。焦ってはならぬぞ、分かったか?」
太華道人は真剣に言った。
「はい!弟子は承知いたしました」
葉平は厳かに頷いた。
未来への期待に胸を膨らませながら。