青雲大殿。
「宗主、私は嘘をついているわけではありません。私たちの小師弟は、剣道の才能が天を逆転するほどです」
蘇長御は熱い鍋の上の蟻のように、太華道人に説明した。
「剣道の才能が天を逆転する?どのように逆転するというのだ?」
太華道人はまだ信じていなかった。
外で適当に連れてきた弟子が、本当に天才だというのか?
空から黄金が降ってくる確率よりも低いだろう。
「宗主、私が修練している剣術が四雷劍法だということはご存知ですよね?」
蘇長御は尋ねた。
「知っているとも、劍譜は私が買ったものだ。二百両余りの黄金を使った。お前に一生懸命修練して、宗門の名を上げてほしいと思っていたが……」
太華道人は言いかけて止めた。蘇長御の自信を傷つけたくなかったからだ。
蘇長御は少し辛かったが、気にせず続けて言った。
「宗主、この四雷劍法についてはよくご存じのはずです。私が一昨日、小師弟に適当に一本の劍痕を見せて、適当に悟りを開かせたのですが、小師弟が何重まで悟ったかご存知ですか?」
蘇長御は声を潜めて、神秘的に言った。
「それで悟りが開けるのか?」太華道人は少し驚いた。蘇長御が適当に一本の劍痕を見せただけで悟りが開けるなら、それは本当に天才だ。
「初歩段階か?」
太華道人は大胆に推測した。
「宗主、もっと大胆に推測してください」
蘇長御は首を振った。
「爐火純青か?」
太華道人は目を見開いて、信じられない様子だった。
「もっと大胆に」
蘇長御は続けて言った。
「おいおい、長御、針を飲もうとしているのか?」
太華道人は答えなかった。
大成圓滿?
それはありえない。
四雷劍法は彼も幸いにも少し学んだことがあるが、足があっても学べないような代物だ。大成圓滿どころか、四雷劍法を全て初歩段階まで修練できれば天才だと思うほどだ。
まして大成圓滿を、それも一日で?
これは天才どころか、劍仙の転生ではないのか。
「宗主、申し上げても信じられないかもしれません。私自身も夢を見ているのではないかと思うほどです。私たちの小師弟は、一晩のうちに四雷劍法を大成圓滿まで悟り、さらに部分的な剣勢まで凝縮したのです!」
蘇長御はそう言って、もう何も言えなくなった。
四雷劍法を全て大成圓滿まで悟る?
さらに部分的な剣勢まで凝縮?
太華道人は呆然とした。
一晩で四雷劍法を大成圓滿まで悟った人物が、どのような人物なのか想像もできなかった。
太華道人は黙り込んだ。
しかししばらくすると、彼の笑い声が響いた。
「はっはっはっは、龍が現れた、龍が現れた。我らが青雲道宗にようやく龍が現れたぞ」
太華道人は興奮して拳を握りしめ、喜びを隠せなかった。
傍らの蘇長御は呆然とした。
これはどういう意味だ?
「宗主、それはどういう意味でしょうか?」
蘇長御は少し理解できなかった。
「どういう意味もなにも、我らが青雲道宗に龍が現れたのだ。お前は喜ばしくないのか?なぜそんな暗い顔をしているのだ?」
太華道人は笑顔を浮かべ、まさに喜色満面だった。
「いいえ、宗主。小師弟は天才ですが、問題は、私たちのような小さな宗門に留めておくことは、彼の才能を無駄にすることにならないでしょうか?良心が痛むのです」
蘇長御は本心を語った。
以前は天才だと知らなかったからよかったが、今は天才だと分かって、良心が痛むのだ。
しかし彼の言葉が終わるや否や、太華道人の声が響いた。
「長御よ、お前は考えすぎだ。お前の小師弟は五十回も昇仙大會に参加したが、どの宗門も彼を受け入れなかった。そんな中で私が茫漠たる人海の中から彼を選んだのだ。彼にとってはこれは恩恵であり、我らが青雲道宗にとっても良いことだ。何が問題なのだ?」
太華道人は真剣に言った。
この言葉を聞いて、蘇長御は考え込んだ後、思わず口を開いた。「以前は彼が天才だと知らなかったからですが、今は分かったので、状況が違います」
蘇長御はそう言った。
「何が違うというのだ?」太華道人は真剣な表情で言った。「お前の言いたいことは、今この小師弟に『お前は天才だ、早く他の宗門に行け』と告げろということか?長御よ、私が問おう。彼が他の宗門に行ったとして、どうやって自分が天才だと証明するのだ?」
「四雷劍法を直接披露するのか?たとえ成功したとしても、青州の領域内でどの宗門が彼にふさわしいというのだ?」
「たとえ四雷剣宗であっても、彼が入門した後にどんな問題に直面するか?あれほどの才能を持つ者を見て、四雷剣宗の天才たちが嫉妬しないとでも?」
「さらに、我ら修士は縁を重んじる。あれほど多くの宗門が彼を選ばなかったのに、我らが青雲道宗が彼を選んだ。これこそが縁というものだ」
「お前は罪悪感を感じているのだろう。我らの宗門には何もないから、彼の修行の妨げになると。だが考えてみたことがあるか?他の宗門に行けば、欲しいものが何でも手に入るとでも?」
「それに大宗門同士の策略と争い、相手の宗門の発展を阻止するための暗殺なども、ないわけではない。長御よ、聖母ぶるのはよせ」
太華道人は流石に宗主だけあって、五、六十年を生きた者の言葉は理に適っていた。
蘇長御は目から鱗が落ちる思いだった。
よく考えてみれば確かにそうだ。
天才又如何?
来歴も分からない者を、誰が受け入れるというのか?
たとえ受け入れたとしても、その宗門がお前一人の天才を待っていたとでも?
さらにもう一つ、あの大宗門は最初から大宗門だったわけではない。小さな宗門から一歩一歩這い上がってきたのだ。一人また一人の天才の努力によって生まれたものだ。
突然現れたわけではない。
その時、蘇長御は自分が確かに聖母ぶっていたと感じた。
「長御よ、我らがこれらのことを守れば、良心に恥じることはない」
「真摯に修仙を教え、宗門の全ての資源を彼に与える。それで我らが青雲道宗は胸を張れる」
「もちろんもう一つ、高人の雰囲気を保ち続け、必ず彼を宗門に留めることだ。私は欲張らない。宗門が二品に昇格したら真相を告げよう。その時彼が去るか留まるかは、彼次第だ。どうだ?」
太華道人は続けて言った。
蘇長御はすぐに頷いた。
「宗主の仰る通りです」
「分かってくれれば良い。長御よ、数日後に私と共に山を下りよう。お前の小師弟が天才なら、私が二、三の劍譜を買って、しっかり学ばせよう。家財を使い果たしても、彼を粗末に扱うわけにはいかない」
「戻って休むがよい。覚えておけ、他人には話すな。知る人が多ければ多いほど、事が露見しやすくなる。それと落ち着くんだ、長御。お前は自分を本物の絶世の高人だと想像して、決して正体を現してはならないぞ」
太華道人は念を押した。
蘇長御は大殿を去った。
蘇長御が去った後、太華道人はまた笑い出した。ただし口を押さえて、大きな声を出さないように気をつけた。
罪悪感?
正直に言えば、何が罪悪感だというのか?
俗世で言えば、十文銭で価値連城の古玩を買ったようなものだ。誰がそれを売り主に返そうとするだろうか?
それに、千里馬はいても伯楽は稀だ。
五十回以上の昇仙大會で、数百の仙門が葉平を選ばなかったのに、彼の青雲道宗が宝を拾うことも許されないというのか?
まあ、苦労を知らない者ほど、人に善良であれと勧めたがるものだ。
長御もこれからしっかり磨きをかけねばなるまい。
すぐに、大殿からは時折笑い声が漏れ出し、何人もの弟子たちを不思議がらせた。