仙武紀元、三月十八日。
酉の刻。
葉平は青雲道宗に来てから丁度十五日が経った。
葉平は四雷劍法の千四百六十の剣技を全て悟り出した。
言い換えれば、この剣術において葉平は完全に登峰造極の境地に達したのだ。
今は剣勢を悟り出さねばならない。
所謂剣勢とは、一種の剣道の勢いである。
一つの剣術、千四百六十の技、全てを繰り出すとなると、ラジオ体操のように、一つ一つの動きが木偶の坊のようになってしまう。
しかし剣勢を凝縮すれば、そのような必要はない。一撃を繰り出すだけで、剣術の全ての技が一撃に込められるのだ。
だから剣勢は重要なのだ。一撃が一つの剣術全体と同等になる。
剣意に至っては、さらに高度な存在だ。
剣意を持つ強者は、剣を振るう必要すらない。そこに立っているだけで敵を圧倒できる。
だから剣意は最も深遠なものなのだ。
葉平は十五日かけて剣術全体を悟り出し、これから会得すべき剣勢も、そう長くはかからないだろうと確信していた。
しかし葉平は傲慢にはならなかった。なぜなら、この成果が得られたのは完全に大師兄のおかげだと知っていたからだ。
もし大師兄の劍痕がなければ、悟ることは難しかっただろう。
井戸を掘った人の恩を忘れずに水を飲む、この恩は葉平の心に刻まれることだろう。
半年前、五十以上もの昇仙大會に参加したが、どの宗門にも相手にされなかったことを思い出す。それは葉平にとって辛いことだった。今、青雲道宗が自分を受け入れてくれた、この恩は当然心に刻んでおかねばならない。
そう考えると、葉平は思わず遠くの崖の上にいる蘇長御を見つめ、心の中でさらに尊敬の念が湧き上がった。
「大師兄」
葉平は声をかけた。
崖の上で、蘇長御は数日間座り続けていた。
彼は最近の自分がどうしたのかわからなかった。昼間はまだ良かったが、夜になると理由もなく物思いに沈むようになっていた。
おそらく打撃を受けたせいか、あるいは葉平のような驚異的な資質に、自分は剣道に向いていないのではないかという疑念を抱くようになったのかもしれない。
しかしその時、蘇長御は葉平の声を聞き、振り返った。
「どうした?」
蘇長御は平静を装った。
「大師兄、師弟は千四百六十の剣技を全て会得いたしました。ご報告させていただきます」
崖下の葉平は静かに言った。
この言葉を聞いて、既に憂鬱だった蘇長御はさらに辛くなった。
彼は酸っぱい思いでいっぱいだった。
しかし黙って耐えるしかなかった。最も重要なのは、葉平が明らかに強いのに、まるで自分は未熟者ですという態度を見せることだった。
一方自分は明らかに雛鳥のように弱いのに、まるで自分は強者だという態度を見せなければならない。
厚顔無恥も限界があるというものだ。
「そうか、しっかり休息を取るがいい。あまり無理をするな。我々修士は労働と休息のバランスを知らねばならぬ。急がば回れという道理がわかるだろう?」
しばらくして、蘇長御は口を開き、葉平に休息を取るよう促した。同時に深く感慨を覚えた。
天才は恐ろしくない、恐ろしいのは天才が努力家だということだ。これこそが人を絶望させる所以なのだ。
「師兄のご指導ありがとうございます」
崖下で。
葉平は頷いた。
この十五日間、確かに自分は勤勉に、寝食を忘れて修行に励み、休息する時間すら取らなかった。
勤勉であることは良いことだが、やりすぎも良くない。適度な休息も必要だ。
よし、半刻の休暇を取ろう。
葉平は頷き、地面に座って心を空にした。
彼は青雲道宗を眺めた。
夕焼けが空を染め、青雲山脈が淡い紅色に映え、全てが静寂で詩情豊かな光景だった。
この時、葉平は体を伸ばし、青雲道宗の美しい景色を一瞥した後、思わずゆっくりと口を開いた。
「夕焼けは青雲峰を包み込み、衡嶽の高低に紅く輝く」
「青州の修練の術を学ばんと願い、朝には一片の天風に乗らん」
葉平は詠んだ。
思わず一首の詩を詠んだのだ。
これは南宋の詩人、林用中の作である。
ただし葉平は少し改変し、祝融峰を青雲峰に、陵陽の修練の術を青州の修練の術に変えた。
わずかな改変だが、意境は変わらない。これこそが文章の借用における最高の境地だろう。
葉平は心の中で少し得意になった。
修仙界では自分は落ちこぼれかもしれないが、晉國の中では、それなりに名が知られているのではないだろうか?
しかし葉平は確かに謙虚すぎた。彼の晉國での名声は、単なる「それなり」というレベルではなかった。
一字千金と言っても、それは彼の身分を貶めることになるほどだった。
晉國の権貴たちが最も好んだのは琴棋詩画で、たまたま葉平は彼らが追い求める対象だった。だからもしこれが修仙世界でなければ、葉平は晉國で魚が水を得たように暮らせただろう。
しかし葉平には後悔は全くなかった。
彼の目には、万般は下級にして、ただ修仙のみが高しと映った。
そしてこの時。
後ろの崖の上に立っていた蘇長御が少し動いた。
彼は姿勢を変え、葉平に視線を向けた。
一つには足が痺れたからだ。
二つには葉平が先ほど詠んだ詩が、彼の注意を引いたからだ。
蘇長御は文化的教養に乏しかった。
しかし葉平のこの詩がかなり優れていることは聞き取れた。
葉平の来歴を思い出し、蘇長御は興味を持って尋ねた。
「小師弟、宗主様の話では、お前は入門前は読書人だったそうだな?」
蘇長御は尋ねた。
「はい、師兄。半人前の読書人でしたが」
葉平は急いで答え、大それたことは言わなかった。
「半人前の読書人?」
蘇長御は興味を持った。半人前の読書人とはどういうことだ?
「まだ科挙に合格していませんでしたので、半人前の読書人としか言えません」
葉平はすぐに答え、謎かけはしなかった。
「なるほど」蘇長御は頷いた。よく分からなかったが。
しかし最後に、蘇長御は続けて尋ねた。
「では小師弟、丹青の術は心得があるか?」
蘇長御は尋ねた。
「多少は」
葉平は非常に謙虚に答えた。
「では師兄のために一枚描いてくれないか」
蘇長御は口を開いた。突然思いついたわけではなく、もし葉平が丹青の術を心得ているなら、将来葉平が本当に出世した時、自分にも自慢できる種があると考えたのだ。
見ろ、晉國第一の劍修が自分のために絵を描いてくれたのだと。
蘇長御には趣味らしい趣味がなく、唯一の趣味は自慢することだった。
「承知いたしました。師兄、少々お待ちください。筆墨を取って参ります」
葉平は頷いた。
丹青素描術なら得意分野だった。興味があったわけではなく、前世である女神様を追いかけるために丹青學舎に入り、三年の苦練の末にようやく丹青の術を習得したのだが、女神様は金持ちの二代目と駆け落ちしてしまった。
そこで葉平は一つの道理を悟った。
絵画の修行では独身は救えないと。
しばらくして、葉平は筆と宣紙、そして硯を持ってきた。
これらは入門前から持っていたものだが、ずっと使う機会がなかった。今がちょうど良い機会だ。
文墨を取り出し、葉平は真剣に取り組んだ。夕焼けの色合いを見つめ、この大師兄を見つめ、そして筆を動かし始めた。
一方蘇長御も深く考えることなく、立ち上がり、静かに夕焼けを見つめ、颯爽とした姿勢を保った。
一刻後。
絵は完成した。