大殿内、他の弟子たちは皆去っていった。
蘇長御だけが残された。
「長御よ、この数日間、為師は山を下りて、霊石を借りられないか見てくる。葉平のことは、お前がしっかりと面倒を見るように。どうあっても当初の計画通りに進めよ。決して間違いを起こすな、分かったか?」
太華道人は真剣に言った。
「弟子は承知しております。ただ、百両の黄金というのは......少々多すぎるかと。師匠、何か良い方法はございませんか?」
蘇長御も少し憂いを帯びた表情を見せた。
やっと宗門に天才が現れたというのに、こんなことになるとは。
「方法は見つかるはずだ。とにかく心配するな。我が宗門からようやく龍が現れたのだ。為師が少々苦労しても構わん。大事なのは、お前の弟弟子を安定させ、しっかりと教えることだ。もう変な教え方はするなよ。」
太華道人は真剣に言った。
葉平が天才だと分かった今、太華道人は蘇長御に人を台無しにされたくなかったので、このように言ったのだ。
「はい、師匠ご安心ください。宗門には私がおりますから、ご心配なく。」
蘇長御は頷いた。
昨夜一晩中考えた末、太華道人の言うことが正しいと思い、心の中の壁を乗り越えたので、もう負担は感じなかった。
しばらくして、蘇長御は大殿を後にした。
後崖へと向かった。
後崖にて。
葉平は相変わらず剣痕を悟っていた。
自分の剣道の才能が並程度だと知ってからというもの、葉平はより一層努力するようになった。体力が持たなければ、一日十二刻すべてを剣痕の悟りに費やしたいくらいだった。
しかし、努力には必ず報いがある。
四雷剣法は全部で千四百六十の剣技がある。
葉平は今までに七百二十の剣技を悟っていた。
しかも悟りの速度は次第に速くなっており、三日以内に四雷剣法を登峰造極まで推し進める自信があった。
そんな時、蘇長御がやって来た。
「弟弟子よ。」
蘇長御は現れたが、その表情は相変わらず孤高を保っていた。別に葉平に見せびらかすためではなく、主に笑顔が作れなかったのだ。葉平に対して今では重圧を感じていたのだから。
「大師兄にお目にかかれて光栄です。」
葉平は蘇長御を見るや、急いで一礼した。
「師弟よ、そのような礼は不要だ。我々は血のつながりこそないが、同じ宗門に入った以上、兄弟同然。このような礼儀作法は気にする必要はない。」
蘇長御は急いで口を開き、葉平に礼をさせまいとした。耐えられなかったのだ。
「大師兄はご冗談を。礼儀は人としての基本、弟子は当然守らねばなりません。」
葉平は譲らなかった。古い言葉にもあるように、礼を尽くして損はないのだ。
文壇で活躍していた時も、誰に対しても褒め、誰に対しても礼を尽くし、そうして多くの好感を得てきたのだ。
蘇長御は細かいことにはこだわらず、ただ無意識に尋ねた。「弟弟子よ、今日はまた何個の剣技を悟ったのか?」
そう尋ねた。
剣技の話になると、葉平は少し照れくさそうになった。
「昨日からここまでで、七百二十番目までしか悟れておりません。」
葉平はそう答えた。
蘇長御:......。
たった七百二十か?
嫉妬を感じずにはいられなかった。
蘇長御は何と返事をすべきか分からなかった。とても辛かった。
しかし考えた末、蘇長御は深く息を吸い、歯を食いしばって演技を続けることにした。どうせこれまでずっと演じてきたのだ。バレてもバレても、恥ずかしがることはない。
そう思い至り、蘇長御は首を振って言った。
「まだまだ火候が足りないな。」
蘇長御はそう言った。
案の定、この言葉に葉平の表情は少し曇ったが、すぐに葉平は続けて尋ねた。
「大師兄、何個の剣技を悟れば良いのでしょうか?それに、この剣法は何という名前なのですか?」
葉平は尋ねた。彼も一体何個で合格なのか分からなかったのだ。
そして、このような解説は蘇長御の得意とするところだった。
「弟弟子よ、よく聞くがよい。」
「お前の修めているこの剣法は四雷剣法という。その中には四つの異なる剣術がある。春雷剣術、夏雷剣術、秋雷剣術、冬雷剣術だ。」
「剣法全体で千四百六十の技があり、もしすべてを悟れば、この剣法は登峰造極の境地に達したことになる。」
「剣法には四つの段階がある。初歩段階、爐火純青、大成圓滿、登峰造極だ。」
ここまで言って、蘇長御は一旦言葉を切った。
「しかし、登峰造極に達するのは、まだ始まりに過ぎない。剣法が登峰造極に達した後は、自分自身の剣勢を凝縮せねばならない。そして剣勢を悟った後には、さらに剣意がある。」
「真に強大な剣道の強者となるには、必ず剣勢と剣意を凝縮せねばならない。剣勢と剣意を凝縮した後、精気神を一つに融合させることができる。そこまで到達して初めて剣道修士と呼べるのだ。分かったか?」
蘇長御は真剣に解説し、細かく説明した。
一瞬にして、葉平は目から鱗が落ちた思いだった。
「なるほど。」
葉平は理解し、続いて蘇長御を困らせる質問をした。
「では大師兄は、現在どの境地におられるのですか?」
葉平は尋ねた。
この質問は非常に困るものだった。
蘇長御は如何に答えるべきか分からなくなった。
私はまだ初歩段階だと言えば信じるだろうか?
考えた末、蘇長御は深く息を吸い、そして背後で手を組んで言った。
「師兄の不才ながら、数年前に伝説の無上剣道第一重、無窮剣意に足を踏み入れたばかりだ。」
蘇長御もはっきりとは言えず、でたらめを言い始めるしかなかった。
「無窮剣意?」
一瞬にして、葉平は震撼した。
彼は無窮剣意が何を意味するのか理解できなかった。
しかし、聞いただけでも凄まじいものに思えた。
剣技、剣勢、そして最後に剣意。
一つの剣意を凝縮するだけでも困難なのに、無窮剣意とは?これはどれほどの概念なのか?
「うむ、無窮剣意だ。剣道一門は、極みに達した後、無上の境界が現れる。そして無上の境界は三重に分かれており、第一重が即ち無窮剣意だ。その名の通り、無数の剣意を持つということだ。」
「もしこの境界に踏み入れば、十國第一となろう。」
蘇長御はそう説明した。
これは嘘ではなかった。確かにこれが剣道の無上境界なのだから。
ただし、青州全体でも誰一人として到達できていない。晉國にもいない。十國にはただ一人、無窮剣意の領域に片足を踏み入れた者がいるだけだ。その人物こそが太虛剣尊、十國第一の剣道強者だが、それでもただ片足を半分入れただけに過ぎず、真の無窮剣意までにはまだまだ遠い。
蘇長御がそう説明すると。
葉平はますます心を奪われた。
無窮剣意?
聞くだけでも凄まじく強そうだ。
大師兄は数年前にすでにこの境界に達していた。自分も生きている間にこの境界に達することができるかもしれない。
そうなれば自分は十國で第二位になれるのではないか?結局、大師兄がいるのだから。
そう考えると、葉平はますます興奮した。
正直なところ、十國第二というのは大きすぎる目標に思えた。青州第一で十分満足だった。それに、第二位というのも悪くない。結局のところ、天が落ちてきても第一位が支えてくれるのだから。
「師弟は理解いたしました。どうか師兄ご安心ください。師弟は必ずや師兄の足跡を追いかけ、生きている間に、必ず無窮剣意に到達いたします。」
葉平は興奮して言った。
一方、蘇長御は辛かった。
なぜなら、嫉妬を感じずにはいられなかったからだ。
しかし、自分が葉平の啓蒙の師であることを思い出すと、蘇長御の気分は少し良くなった。
「弟弟子よ、この数日は引き続き剣痕を悟るがよい。この数日間は師兄が付き添おう。お前が間違いを起こさないようにな。」
蘇長御はそう言った。
「師兄のご指導に感謝いたします。弟子が将来出世した暁には、必ずやこの恩を忘れません。」
葉平は感謝の意を示した。