第14章:70枚の銅銭【新作応援お願いします】

正殿の中。

宗門にまだ七十個の下品霊石が残っていると皆が知った時。

皆の表情は少し和らいだ。

十個の下品霊石を無駄にしたことは受け入れ難いが。

まだ七十個の下品霊石が残っていると思えば、それほどでもない、災難避けの出費と考えよう。

しかし、皆の和らいだ表情を見て。

太華道人は苦々しく首を振った。

一瞬にして正殿の中で、弟子たちは一人一人黙り込んだ。

七十個の霊石ではない?

七十両の黄金?

皆の気持ちは複雑になった。

これは確かに厄介な問題だ。

「七十両の黄金ですか?差は大きいですが、我々が努力すれば、二ヶ月以内に稼ぐことも不可能ではありません」

蘇長御は重々しく言った。

まさに大師兄らしい態度で、責任感と使命感を持って。

この言葉を聞いて、皆は確かに冷静になった。

七十両の黄金でもまだ良い方だ。

三十両の黄金が足りないだけだ、皆で頑張れば希望はある。

しかし次の瞬間、太華道人の表情はさらに暗くなった。

一瞬、蘇長御は唾を飲み込んだ。

彼の目は信じられない様子を浮かべていた。

「宗主、まさか七十両の銀だけだとは言わないでください」

蘇長御は信じられない表情を浮かべた。

七十両の銀なら夢も見られない。

七十両の黄金なら、頑張って二ヶ月以内に三十両の黄金を稼ぐことができると言えるが。

七十両の銀だと?

そんなの無理に決まっている。

しかし皆が七十両の銀だけだと思った時、太華道人は再び苦々しく首を振った。

蘇長御:「......」

許洛塵:「......」

王卓禹:「......」

陳靈柔:「......」

沈黙。

沈黙。

大殿は深い絶望に包まれた。

七十枚の銅銭?

冗談じゃない。

からかってるの?

最初、皆は七十両の銀が青雲道宗の底線だと思っていた。

しかし思いもよらなかったことに、太華道人は人を失望させることはない。

七十枚の銅銭?

もうどうしようもない。

どうしようもないって分かる?

青雲道宗の年間純収入は、三十両の黄金ほどしかない。

青雲道宗は仙門とはいえ、最下級の仙門で、年間三十両の黄金の収入があれば上出来だ。

宗門は上から下まで八人しかおらず、鉱山も土地もなく、霊米を少し栽培して僅かな資産を稼ぐしかない。

二ヶ月以内にこれほどの銀両を集めろと言われても、どうやって集める?

身売りしても集まらないだろう。

「おかしいですよ、宗主、我が道宗は確かに貧しいですが、そこまで貧しいはずはありません。これまでの蓄えは?」

ある者が信じられず、道宗は貧しいとはいえ、そこまでではないだろうと。

堂々たる仙門の底力が七十枚の銅銭?

世俗の護衛隊でさえ、七十枚の銅銭以上はあるはずだ。

この言葉を聞いて、太華道人は怒り出した。

「洛塵、それはどういう意味だ?まさか師が私腹を肥やしていると思っているのか?」

太華道人は少し不機嫌そうに言った。

「弟子はそんなことを」

許洛塵はすぐに首を縮めた。

しかし蘇長御は、この頼りない師を真っ直ぐに見つめた。

「宗主、私はあなたが私腹を肥やすとは思いません。しかし道宗に七十枚の銅銭しか残っていないはずがありません。本当のことを話してください」

蘇長御は、事態がそう単純ではないと薄々感じていた。

この言葉に、太華道人は反論しようとしたが、蘇長御の視線の下で、少し心虚になった様子を見せた。

「実はな、我が宗門にはある程度の蓄えがあったのだ」

「しかしな、銀両を手元に置いておいても無駄だと思って、この前山を下りた時に、修仙基金という新しいものを見つけた。そこに預けておけば、毎月利息が付くと言われ、しかもその利息は少なくないと」

「師は考えたのだ、誰かが我々の銀両を管理してくれて、さらに利息まで付くなら、これは大儲けではないかと」

「だから銀両は全て基金に投資した」

太華道人は少しもごもごと言った。

「基金?それは何ですか?」

「師父、今すぐ引き出しましょう」

「そうですよ、利息のことは気にせず、今すぐ引き出しましょう」

皆が次々と口を開き、まだ蓄えがあると知って、一同ほっと胸をなでおろした。

しかし太華道人は無念そうに言った。

「私も引き出したいのだが、銀両を預けた途端、翌月には人が見つからなくなってしまった」

太華道人は気分が悪そうに言った。

この件について触れると、彼は気分が悪くなる。一生鷹を追いかけてきたのに、まさか今回こんな失敗をするとは。

「宗主、あなたは......」

「宗主、いったいどれくらいの銀両を投資したのですか?」

皆は無念さと好奇心が入り混じった様子だった。

「多いとは言えないが、少ないとも言えない、およそ二百両の黄金だ」

太華道人は少し恥ずかしそうに言った。

「二百両の黄金?」

「はっ!」

驚きの声が上がった。

皆は本当に信じられなかった。

一つには、この額があまりにも途方もないこと、二つには、青雲道宗にどうして二百両の黄金があり得るのか?

二百両の黄金とはどういう概念か?

宗門が毎日贅沢な食事をしたとして、通常の高い基準で、一日最大一両の銀。

一ヶ月でも三十両の銀にしかならない。

一年で精々四両の黄金だ。

五十年分の贅沢な食事ができる額だ。

五十年だぞ。

人生に何度も五十年はない。

悲しくて涙が出る。

「宗主、言い間違えではありませんか?二百両の黄金?我が青雲道宗にそんなに多くの銀両があるはずがありません」

王卓禹は少し信じられない様子だった。

彼だけでなく、ここにいる誰が信じられようか?

「百二十両の黄金は借りたものだ」

太華道人は小さな声で、大きな声で答える勇気もなく言った。

はっ!

皆は冷や汗を流した。

百二十両の黄金も借りたもの?

これはどういうことだ?

呆然!

呆然!

呆然!

皆は完全に呆然としていた。

これは二ヶ月以内に百両の黄金を集めてこの問題を解決するだけでなく、さらに百二十両の黄金を集めて別の問題も解決しなければならないということか?

太華道人は頭を下げた、確かに少し申し訳ない気持ちだった。

本来ならこの件は話すつもりはなかった。結局のところ宗門の財務権は全て自分の手にあり、誰も会計監査をすることはないのだから。

しかし今このような事態が起きて、話さざるを得なくなった。

大殿の中は、死のような静けさに包まれた。

皆の気持ちは重かった。

太華道人も何を言えばいいのか分からなかった。

皆も何を言えばいいのか分からなかった。

最後に、太華道人は深く息を吸い、そしてゆっくりと口を開いた。

「どうあれ、師はあらゆる手段を尽くす。今日お前たちを呼んだのも、皆で知恵を出し合って、方法を考えてほしいからだ。もし本当にだめなら、師も一か八かの賭けに出るしかない。最悪の場合は靜林山脈に行くことになるだろう」

太華道人はそう言った。

しかしこの言葉を聞いて、皆はさらに無念になった。

靜林山脈は妖獣の山脈として有名で、命知らずの者だけが妖獣を狩って霊石を稼ぐために行く、危険に満ちた場所だ。

彼らがどうして自分たちの師をそんな危険な場所に行かせられようか。

しかし彼らは本当に何を言えばいいのか分からなかった。

「まあいい、皆それぞれ戻って、何か方法を考えられないか見てくれ。長御、お前は残れ、師から伝えることがある」

太華道人は口を開き、蘇長御を残すよう言った。