第33章：いつかこのような真の剣道の達人に会えることを願って【新作応援お願いします】
強大な剣勢が大殿全体に漂っていた。
しかし、これは四雷劍勢ではなく、絵の中の剣勢だった。
この剣勢が現れ、その場にいる者たちに言い表せない圧力を与えた。
次の瞬間、四季道人が法力を引き戻すと、剣勢は忽ち消え去った。
「今でも私の推測が間違っていると思いますか？」
四季道人は静かに尋ねた。
大殿の中は、針が落ちても聞こえるほど静かだった。
もはや誰も四季道人の言葉に異議を唱える者はいなかった。
「青蓮居士の丹青の術は、まさに超凡入聖、剣勢を画巻に刻み込むとは、敬服、敬服です。」
「いや、青蓮居士の丹青の術が凄いのではない。絵の中の人物が凄いのだ。彼の強大な剣勢がなければ、青蓮居士が剣勢を画巻に刻み込むことなどできなかったはずだ。」
「そうだ、この絵の中の人物は恐ろしいほど強い。ただそこに立っているだけで、恐ろしい剣勢を漂わせ、人を畏服させるのだ。」
長老たちは心を震わせた。先ほどの剣勢は特別恐ろしいものではなかったが、彼らを震撼させたのは、剣勢を画巻に刻み込むという、この能力の恐ろしさだった。
そしてこのような能力を生み出せるのは、二つの可能性しかなかった。
一つ目は、画を描いた者の画力が神業の域に達していること。
二つ目は、肖像画の中の人物が無上剣意を凝縮し、剣勢が外に漏れ出たこと。
もし一つ目だとすれば、四季道人の推測は問題があることになる。
もし二つ目だとすれば、四季道人の推測は全く問題がないことになる。
しかし四季道人は首を振って言った。
「諸君はまだ、その中の重要な点に気付いていないようだ。」
四季道人の目には失望の色以外何も映っていなかった。
この言葉を聞いて、長老たちは完全に困惑した。
まだ細部があるのか？
一瞬のうちに、数十名の長老たちがこの画巻を食い入るように見つめた。
半柱香の時が過ぎ、ようやくある長老が理解した。
「分かりました、理解しました。」
彼は大声で叫び、驚きを隠せなかった。
「何が分かったのだ？」
「何を理解したのだ？」
「おい、王長老、分かったなら早く言えよ、何を引っ張っているんだ。」
「貧道は生涯で最も嫌いなのが引き延ばすことだ。早く言ってくれ、私は焦っているのだ。」
長老たちは困惑していた。
彼らは本当に何か細部を見落としているのか分からず、今誰かが理解したと聞いて、自然と一人一人が焦りを感じていた。
「この画巻の中には、靈氣がない。」
王長老は画巻を指さし、興奮して言った。
その瞬間、大殿は完全に静まり返った。
そして四季道人はようやく安堵の表情を見せた。ついに誰かが細部に気付いたのだ。
「靈氣がない？」
「これは！これは！これは！」
「分かった、私も分かった。」
「画巻の中に靈氣がないということは、描いた人が修士ではない、あるいは靈氣を使わずに剣勢を画巻に刻み込んだということだ。つまりこの絵が強大な剣勢を放つのは、青蓮居士とは何の関係もなく、ただこの絵の中の人物が強すぎるということだ。」
「なるほど、なるほど、宗主がそれほど確信を持っていた理由が分かった。この絵の中の人物が監察使統帥だというのは、こういうことだったのか。」
この瞬間、皆は完全に悟った。
画巻の中に靈氣がないということは、法力で剣勢を刻み込んだのではなく、絵の中の人物から漂う強大な剣勢が刻み込まれたということを意味する。
これは即ち、この絵の中の人物が絶世剣道の強者だということだ。
四季道人の言葉と結びつけて考えると、この瞬間皆は完全に信じた。
「宗主は明察秋毫ですね。」
「さすが宗主、わずかな細部から、これほど多くの情報を判断できるとは。」
「宗主はまさに神人なり。」
皆は追従しながらも、心から感嘆の声を上げた。
画巻の中の剣勢はそれほど強くなかった。主に四季道人が一部の法力を加えたから、彼らに圧迫感を与えることができたのだ。
しかし画巻の中に靈氣の加護がないのに剣勢を刻み込めるというのが、最も恐ろしい点だった。
まるで法力なしで物を動かせるようなもので、これはこの人物の元神が非常に恐ろしいということを意味する。
自然と、皆は完全に納得したのだった。
皆が完全に自分を信じたのを見て、四季道人は少しも傲慢な様子を見せず、むしろより慎重に言った。
「本座がこの人物を監察使統帥だと考えるもう一つの重要な理由は、この人物の心性が自然で、山水を愛で、人間の百態を体得することを好むということだ。」
「彼はしばしば極めて貴重な物を、些細な銭財と交換し、凡俗の中で気ままに使い果たす。國君からの賜り物であれ何であれ、彼の目には価値のないものとして映る。まさに達人と言えよう。」
「この画巻は、私が白果古城で偶然手に入れたもので、店主の話によると、絵を売った人物はこの絵の中の人物と非常によく似ていたという。」
「だから、これこそが私が監察使統帥が青州にいると断定した理由なのだ。」
四季道人はこう語り、皆をさらに震撼させた。
「確かにその通りだ。往々にして達人は名利を気にかけない。かつて太虛剣尊が山野を遊歴した際、道器飛劍を田舎者に与え、たった一つの果実と交換したという話もある。」
「そうだ、そうだ、我々の目には稀世の宝物に見えるものも、このような世外の達人の目には、ただの屑同然なのだ。高い境界、高い境界だ。」
「宗主、我々がこの秘密を知った以上、これからどうすべきでしょうか？意図的に取り入るべきでしょうか？」
長老たちは次々と頷き、四季道人の言葉を完全に信じた。このような伝聞は数多くあったからだ。
ただし、長老たちは好奇心から、これからどうすべきか知りたがった。
「いや！我々は決して意図的に取り入ってはならない。むしろ情報を封鎖し、決して積極的にこの人物に取り入ろうとしてはならない。このような達人は名利を厭い、また他人が目的を持って接近することを最も嫌う。」
「我々は自然に任せるべきだ。彼を怒らせてはならないが、意図的に取り入ることもしてはならない。ただし、この人物を見つけた場合は、門派の弟子たちに剣道について質問させることはできる。」
「学ぶことを好み、下問を恥じないようにすれば、良い印象を残すことができる。結果がどうであれ、四雷剣宗がこの人物の心に悪い印象を残さないようにすれば十分だ。」
四季道人は真剣に語り、皆に決して意図的に相手に取り入ろうとしないよう警告した。
「はい、はい、宗主の仰る通りです。」
「そうだ、このような達人が最も嫌うのは賞賛であり、また不純な心を持つ者も嫌う。逆に積極的に剣道について質問すれば、いくつかの技を伝授してくれるかもしれない。」
「そうだ、このような達人は、きっと心の中は孤高で、喜怒を表さず、名利を気にせず、栄華富貴も気にかけず、ただ剣道のみを追求する存在なのだろう。」
大殿の中で、長老たちは一人一人崇敬の眼差しを向けた。
四季道人もまた頷き、目に賞賛の色を浮かべた。彼はいつかこのような真の剣道の達人に会えることを強く願っていた。
そしてその時。
青雲道宗にて。
蘇長御は静かに剣技を演じていた。
半柱香後。
蘇長御は長剣を収め、ゆっくりと息を吐き、そして傍らの陳靈柔に静かに言った。
「師妹、師兄のこの剣技は美しかったか？」
「うん、美しかったわ。」
陳靈柔は笑顔で答え、とても可愛らしい八重歯を見せた。
その時、蘇長御は陳靈柔に背を向け、久しぶりの笑顔を浮かべた。
そして別の場所では。
許洛塵は数冊の書物を持ち、笑顔を浮かべながら青雲後崖へと向かった。