雲霧山脈。
ここは山々が連なり、とても険しく見える。
そして、ある森の中で、数人の影が素早く逃げ出していた。
「長御、早く逃げろ!」
太華道人の声が切迫感を帯びて響いた。
「もう走っています、師父、早く付いてきてください。」
蘇長御は猛スピードで森の中を駆け抜けていた。
ガオー!
その時、五メートルもの高さの鉄甲サイが突進してきた。巨大な古木が次々と倒れ、鳥たちが四方八方に逃げ散った。
サイの速度は極めて速く、全身が鉄の鎧で覆われており、見るだけでも恐ろしかった。
太華道人は数百メートル前方にいたが、ただ逃げ続けても死は避けられないと悟り、思い切ってこの鉄甲サイと一戦を交えることにした。
剣を突き出して攻撃を仕掛けた。
太華道人は鉄甲サイの目を狙った。それが鉄甲サイの最も弱い部分だった。
しかし鉄甲サイも決して愚かではなく、太華道人の攻撃を見るや、体をひねって攻撃をかわした。
「まずい!」
一瞬のうちに、太華道人の表情が変わった。窮地に陥ったことを悟った。
カン!
精鉄剣が折れ、鉄甲サイは怒りの咆哮を上げ、太華道人を弾き飛ばした。
恐ろしい衝撃で、太華道人は数十メートルも吹き飛ばされ、胸の骨が何本も折れた。
その力は極めて恐ろしく、太華道人は連続して血を吐いた。幸いにも、彼は残りわずかな靈氣を五臓六腑に集中させていた。そうでなければ、この一撃で命を落としていただろう。
「終わりだ。」
この瞬間、太華道人は絶望した。
雲霧山脈に来たことを後悔したが、今更後悔しても何の意味もなかった。
ガオー!
次の瞬間、鉄甲サイは太華道人を見つめた。その目は凶暴な意図を露わにし、明らかに太華道人を標的としていた。
「師父、逃げて!」
そのとき、蘇長御が現れた。
彼は逃げずに、太華道人を救いに戻ってきたのだ。
「長御!」
太華道人は驚いた。蘇長御が自分を救いに戻ってくるとは思わなかった。
シュッ!
一瞬のうちに、蘇長御は太華道人の襟をつかみ、すぐさま後ろに向かって全力で走り出した。
蘇長御の速度は極めて速かったが、彼の体には血気が渦巻いていた。