第75章:太上度人経、度化金光【新作応援お願いします】

楊文の声が響こうとした時。

一陣の清風が吹き寄せ、白い霧を少し散らした。

彼は不思議に思った。なぜ突然清風が現れたのだろうか?

楊文が話そうとする前に。

葉平の声が突然響いた。

「大師兄、私は悟りました。」

静かな声が響き、楊文はその場で呆然とした。

悟った?

何を悟ったというのだ?

こんなことで悟れるのか?

おい、お前は最初から私が大師兄ではないと見抜いていて、わざと私、楊どのを侮辱しに来たのか?

楊文はその場で呆然としていた。

彼は歯が痛くなり、肝まで痛くなった。

葉平の行動が理解できないのはさておき、この悟道について。

度化の経というものは、基本的に人それぞれの解釈があり、資質が良ければ良いほど、悟りの速度も速くなる。葉平は一目見て平凡な才能の持ち主だ。

そうでなければ、なぜ練気二層に留まっているのか?

本当に天才なら、とっくに門派に厳重に保護されているはずだ。練気二層で山を下りて放浪するなんて?

天才でもないのに、一炷香の時間で度化の経を悟れるというのか?

これは自分を馬鹿にしているとしか思えない。

楊文に他意はなかった。

葉平が本当に一炷香の時間で、この度化の経を悟れるのなら、彼は即座に輪廻転生して、もう幽霊なんてやめる。幽霊の面目が立たない。

「こいつは明らかに私の正体を見抜いて、時間稼ぎをしているんだ。」

「もういい、直接手を出そう。ここまで来たんだ、あの臭い坊主が気付いたところで、もう手遅れだ。」

楊文は心の中で考えていた。

彼は今すぐに手を出して、葉平の陽気を吸い取るべきか迷っていた。

しかし楊文が迷っている時。

突然、葉平は経を唱え始めた。

「衆生は芸芸として、苦により生まれ、難により逝く。怨念は海となり、執念は刀となり、貪嗔痴恨、愛別離怨憎、求めて得られず、放つことできず、天尊妙法、一切種種、皆苦より来たり、皆苦より去る。」

「無上法、法は一界を開き、執念を落とす者は、無上界に入ることを得。界内にて、衆生は皆平等なり。三億六千万の法門あり、皆一切の罪業を洗い流し、一切の恨みを消し去り、輪廻に入り、来世の福沢を得て、畜生に堕ちず、修羅に堕ちず、苦難に堕ちず。」

経を唱える声が響いた。

それほど大きくはないが、一字一句が珠玉のようだった。

この瞬間、葉平の周りに金色の光が集まり、光が普く照らす中、祥瑞な様子を見せ、地面から金蓮が次々と湧き出して咲き誇り、不思議な香りが漂い、古い梵音が響き、まるで往生咒を唱えているかのようだった。

金色の光に包まれ、楊文の表情は一変した。

「度化金光?」

楊文は幽霊丸ごと呆然とした。

度化金光は、得道の高人のみが凝集できるものだ。

かつて、臨河鬼墓の鬼王も、あやうく度化金光に超度されるところだった。

度化金光を凝集できる者は、修為が最低でも金丹境はあるはずだ。

目の前の男は、たかが練気二層ではないか。

練気二層で度化金光を凝集?前世で衆生を済度でもしたのか?そうでなければどうして度化金光を凝集できるのだ?

これはあまりにも常識外れだ。

ここで豚を装って虎を食らおうというのか?

楊文は何を言えばいいのか分からなくなり、心は恐怖で満ちていた。

しかし度化金光が身に降り注いだ時。

一瞬で、楊文は呆然とした。

彼は苦痛を感じると思っていたが、予想に反して、光に包まれると、まるで温かい水に浸かっているかのように、全身が解放されるような感覚を得た。

梵音が響き、まるで自分のために祈りを捧げているかのようだった。

次々と黒い煙が体内から浮かび上がった。これらの黒煙は、彼の執念と罪業だった。

シューシューシュー!

黒煙が渦巻いていたが、すぐに葉平の度化の下で、楊文は元の姿を取り戻した。彼の怨念は完全に消え去り、代わりに一種の明晰な状態となった。

まるで智慧を悟ったかのように、すべてのことが過ぎ去った雲煙となった。

彼は度化され、自然と執念を手放し、手の刀を置き、輪廻転生することができるようになった。

楊文はその場で呆然としていた。彼は自分がいつか度化されるとは全く思っていなかった。

これまでの年月、人命は奪っていないものの、多くの陽気を吸い取り、罪業は深かった。もし正道修士に見つかれば、強制的に超度されるのが結果だった。

しかし葉平の超度法は、彼に一切の苦痛を感じさせず、逆に言葉では表現できないような解脱感があった。

しかしそれでも、楊文は呆然としていた。

彼は葉平が本当に自分を度化できるとは思っていなかった。

鬼王を封印した超度の経は、こんなにも強力なのか?

しかしなぜ鬼王はあれほど苦しんでいたのに、自分は昇仙するような感覚なのか?

私が弱すぎるからか?

それとも執念が足りなかったのか?

楊文はそれ以上考える暇がなかった。輪廻の光が既に身に降り注いでいたからだ。彼は抗うことができず、ただ従うしかなかった。

次の瞬間、楊文はその場から消え去った。彼は輪廻へと向かい、転生の旅に出た。

楊文がその場から消え去るとともに、淡い黄色の光が葉平の体内に入っていった。

これは功德の力で、空海が以前得たものよりもはるかに明らかだった。

楊文は消え去った。

しかし、一炷香の時間が過ぎ。

葉平は悟道から目覚めた。

「師兄、私は悟りました。」

目が覚めると、葉平は真っ先に蘇長御に喜びを報告した。

しかし次の瞬間、彼は周りに誰もいないことに気づき、蘇長御の姿が消えていた。

「大師兄?」

葉平は試しに呼びかけてみたが、何の返事もなかった。

これに葉平は少し困惑した。

しかしすぐに、葉平は理解した。

「きっと鬼王が復活しそうだから、大師兄は先に鬼王と対峙しに行ったんだ。そうだ、そうに違いない。大師兄は鬼王と戦いに行ったんだ。」

「大師兄は本当に最強の猛者だな。」

葉平は心の中で考えた。

あれこれ考えても、それしか可能性がなかった。

そう思うと、葉平は落ち着きを取り戻した。

すぐに、葉平はこの太上度化經の理解に没頭し始めた。

そう、この度化の経典は太上度化經と呼ばれ、葉平は一炷香の時間かけてようやく理解することができた。

この度化經には、二つの度化方法があった。

第一の方法は経を唱えて度化する方法で、この経を唱えることで度化金光を凝集し、怨力を浄化して、相手の執念を解き放ち、輪廻転生させることができる。ただし、相手が特に天理に背くような行為をしていない場合に最も効果的だった。

血に染まった者の場合は、苦痛が激しく、度化の成功は難しかった。

しかも鬼修だけでなく、一般人にも効果があり、例えば強い怨みを持つ人も度化することができた。

言い換えれば、今後敵対関係になり、相手が自分を憎むようになった場合でも、度化することができるということだ。

これこそが外出時の敵対関係を解消する無上法門であった。

第二の方法は度化金光を法器に変え、天理に背く鬼修を斬殺するものだった。殺生は護生のため、業を断つのであって人を断つのではない。

そしてこの太上度化經には、四重境界があった。

金光境、金輪境、菩提境、太上境である。

百道の度化金光を凝集すれば金輪となり、頭上に金輪の光が現れ、覚悟と智慧を表す。人を度し自らを度し、経を唱える必要なく、一言一句で相手を度化できる。

九輪の金光を凝集すれば菩提を悟り、その時は菩提の光を映すだけで相手を度化できる。

太上についてはまだ遠い話で、葉平にもよくわからなかった。

しかし葉平を驚かせたのは、太上度化經を悟った後、体内に一道の功德の力が生まれていたことだった。

葉平はこの功德の力がどこから来たのかわからなかった。

しかし考えてみても特に気にならなかった。

あるに越したことはない、しかも無償で得られたのだから、葉平の気分は自然と良くなった。

すぐに、葉平は体内の功德の力を動かしてみた。功德の力が実際どれほど強力なのか試してみたかったのだ。

瞬時に、葉平が体内の功德の力を動かすと。

体内に強大な靈氣が湧き上がった。

一道の功德の力が、まるで大河のように肉身を洗い流した。

わずか十呼吸ほどで。

葉平の修為は、練気三層に達した。

そう、練気三層だ。

「はっ!」

境界の上昇を感じ、葉平は完全に呆然とした。

通常なら、練気二層から練気三層まで修練するには、少なくとも二三日かかるはずだった。一度修練をやり直したため、修練速度が遅くなっていたからだ。

しかし思いもよらなかったことに、一道の功德の力だけで一つの境界を突破できた。

これが十道、百道あったらどうなるのだろう?

それこそ飛躍的な進歩ができるのではないか?

葉平は衝撃を受けた。

彼の体内の功德の力は完全に消耗し尽くした。

「功德だ!功德を集めなければ!」

功德の力の恐るべき効果を感じ取り、葉平は落ち着いていられなくなった。

苦労して二三日座禅を組んでようやく一つの境界しか上がれないのに。

適当に一道の功德の力を得るだけで一つの境界が上がる。

誰だってじっとしていられないだろう?

そう考えた葉平は立ち上がり、前方へ歩き出した。

葉平の考えは単純だった。蘇長御は鬼王を封じに行った、自分は小さな鬼を度化しに行く、危険に遭遇したらすぐに逃げ出せばいい、危険がなければ一つでも度化できるだけ度化する。

そうして。

葉平の姿は、白い霧の中に消えていった。

そしてちょうどその時。

白い霧の中。

空海は一本の木の下で静かに座っていた。

彼は穏やかな眼差しで、念珠をいじりながら、落ち着いた様子だった。

空海はこの場所の鬼魂を恐れていなかった。彼自身が築基円満の修士であり、さらに佛法に精通し、超度の面では寺内一の実力者だった。非常に強力な鬼修に出会わない限り、恐れることはなかった。

「六百五十一、六百五十二、六百五十三、あと三百四十七道の功德の力があれば、仏門金身の凝集を試みることができる。」

「もし二十五歳までに仏門金身を凝集できれば、三十歳までに度化金光を養うことができるだろう。」

「ああ、また晉國仏門の記録を更新することになるな。三十歳までに度化金光を養うとは。空海よ空海、なぜお前はこんなにも優秀なのか?」

「お前はわかっているのか?お前がこんなに優秀だと、他人が妬むことになるぞ。そうなれば妬みから憎しみが生まれ、業力が加わり、まさに罪深いことだ。」

「空海よ、約束してくれ。これからはこんなに優秀になりすぎないようにな。」

空海は心の中で独り言を言っていた。この言葉には戒めの意味が含まれていたが、どう見ても非常に得意げに見えた。

しかし一炷香の時間も経たないうちに。

突然、遠くで一筋の金光が一瞬きらめいた。

その瞬間、空海は思わず驚いた。

「度化金光?」

「道を得た高人がここにいるのか?」

彼は驚きを隠せなかった。