蘇長御は少し呆然としていた。
彼は突然、葉平の姿が見えなくなったことに気づいた。
一瞬、蘇長御は立ち尽くした。
「葉施主はどこに?」
空海も少し不思議に思い、周りを見渡したが、葉平の姿は見当たらなかった。
まずい!
まずい!
まずい!
葉平が消えた?
蘇長御は完全に呆然としてしまった。
葉平が消えたとなれば、太華道人に皮を剥がされるに違いない。
いや、皮を剥がされるだけではすまない。蘇長御は宗門の上から下まで、誰も自分を許してくれないだろうと感じた。
葉平、葉師弟、どこへ行ったんだ?
師兄が無上剣道を教えるから、早く戻ってきてくれ。
蘇長御の気持ちは底まで落ち込み、何を言えばいいのかもわからなくなった。
蘇長御の沈黙を感じ取り、空海はゆっくりと口を開いた。
「私が見るところ、葉施主は吉人天相、きっと危険には遭わないでしょう。蘇施主、ご心配なさらないように。」
彼は蘇長御を慰めた。
蘇長御は深く息を吸い込んで言った。「空海法師、私と一緒に小師弟を探していただけませんか。」
蘇長御は口を開いた。今は慌ててはいけない、冷静さを保たなければならないと分かっていた。
しかし蘇長御の心配は募るばかりだった。もし葉平に何かあったら、太華道人が自分をどう扱おうと、自分自身が自分を許せないだろう。
葉平が天才かどうかに関係なく、彼が自分の師弟であることだけは確かで、当然師弟に何かあってほしくはなかった。
「承知しました。」
空海はすぐに同意した。
「長御、法師に感謝します。」
蘇長御は心を落ち着かせ、すぐに周囲を調べ始めた。足跡や何か手がかりを見つけて、葉平の行方を探ろうとした。
そうして、二人の姿も次第に消えていった。
そしてこの時。
千里離れた青州古城でも、大事が起こっていた。
青州剣道大会の開催に伴い、青州古城には多くの修士が集まっていた。
商人、観戦者、遊覧者で、青州古城は人で溢れかえっていた。
古城の東城門には、参加選手専用の優先通路が設けられており、大会に参加登録した弟子は皆、この優先通路を通ることができ、試合に遅れることはなかった。
しかし東城門で。
ある少年が剣臺を立て、剣で友を募っていた。
このような行為は、青州剣道大会の度に誰かがやっていた。一つには大会を前に剣で友を募り、事前に調整することができ。
二つ目は自分の名声を高めることができた。
なぜなら、剣臺を立てるルールは非常に厳格で、剣臺を立てたら、戦いを受けなければならず、断ることも休むこともできなかった。
言い換えれば、連続戦が許され、十連勝を達成した者は、青州古城から特別な褒賞を得ることができた。
十連勝できる者は必ず名のある俊傑だからだ。
そのため青州城外で誰かが剣臺を立てると、必ず多くの見物人が集まった。
しかし今回は異なっていた。
通路に剣臺を立てたのだ。
その意図は単純だった。
彼に勝たなければこの通路を通ることはできず、勝てなければ別の道を行かなければならなかった。
これは多くの修士の注目を集めた。
剣臺を立て、通路を設けるというこの行為は、まさに前代未聞だった。
周知の通り、青州古城のこの通路は古城の大通りに直結しており、この通路を通れば必ず多くの注目を集めることになる。
試しに聞いてみよう、どれだけの若者が見栄を張りたくないだろうか?
しかし通路が遮られたことで、多くの修士の怒りも買った。
だが青州の修士を驚かせたのは。
この少年は、見たところ十七、八歳に過ぎなかったが、剣術が極めて強く、三十六戦を戦い抜き、一度も敗れることがなかった。
たちまち、古城の上から下まで沸き立ち、内外が人で詰まり、かろうじて挑戦者のための一本の道が残されていた。
そして一刻前、青州古城にようやく一人の剣術の俊傑が現れた。
四雷剣宗からの者だ。
青州第一の剣宗の俊傑。
たちまち、話題は尽きず、多くの注目を集めた。
東城門。
数万の修士が人壁を作り、空には数千の姿が飛び剣に乗り、この大戦を見守っていた。
「四雷剣宗の王建、ご指導願います。」
城門口。
王建は四雷剣宗の道服を着て、銀色の飛び剣を手に、目を輝かせて目の前の少年を見つめていた。
この少年は、見たところ十七、八歳で、容姿は端正だが、眉間には常に冷たさが漂っていた。
大夜星々の衣を纏い、衣は漆黒だが濃くなく、星々が散りばめられ、孤高な様子を見せていた。
蘇長御の孤高さとは異なり、蘇長御の孤高さは絶世の高人のような孤高さだったが、この少年の孤高さは、冷たい孤高さで、まるで天地万物が彼の目には取るに足らないもののように映っているかのようだった。
少年は言葉を発せず、ただ淡々と長剣を抜いた。
瞬時に、王建は眉をひそめた。
しかし彼は結局何も言わず、直接技を繰り出した。
轟!
雷鳴が響き渡った。
王建の剣勢は雷のごとく、四雷劍法を繰り出し、躊躇することなく、強大な剣勢が雷のように炸裂した。
カン!
一瞬のうちに、少年はすぐさま剣を出し、恐ろしい剣勢が現れ、まるで暗夜が訪れたかのようだった。
プッ!
二本の飛び剣が衝突し、一瞬の出会い頭で、王建は吹き飛ばされ、手にしていた飛び剣も手から離れた。
敗北した。
彼は完全に敗北した。
一瞬の交錯で、負けてしまった。
その瞬間、場内は静まり返った。
何万もの修士たちが、この光景に衝撃を受けて見つめていた。
王建は青州の有名な剣道の俊才で、四雷剣宗のある長老の弟子であり、その長老は かつて青州剣道で第一位を獲得した存在だった。
しかし、一瞬の交錯すら持ちこたえられないとは思いもよらなかった。
彼らだけではない。
この時、王建も呆然としていた。目の前の少年が強いことは知っていたが、相手の一撃すら受け止められないとは思ってもみなかった。
これは少し常軌を逸している。
「四雷剣宗、たかがしれているな。」
王建に勝利した少年は、少しの得意気な様子も、喜びの表情も見せず、むしろ彼の目には虚しさが満ちていた。
この言葉には、軽蔑の意味は全くなく、ただ心からの感慨であった。
その瞬間、全員が沈黙した。
羨望と嫉妬に満ちた視線が、少年に注がれた。
男性修行者たちは嫉妬の眼差しを向け、女性修行者たちは色めいた目つきで少年を見つめた。残念なことに、彼の名前を知らないため、きっと何人かの女性は叫び声を上げたかったことだろう。
「ふん、何を威張っているんだ、ちょっと剣術ができるだけじゃないか?」
「そうだ、そんなに傲慢に、四雷剣宗なんてたかが知れているとか、弟子一人を倒して何が偉いんだ、本当の実力があるなら四季先輩と戦ってみろよ。」
「その通り、その通り、最近の若者は、なぜこんなに傲慢なんだ?」
「まさか、まさか、こんなのがかっこいいと思う人がいるの?」
揶揄する声が上がった。
しかし、すぐに別の声も聞こえてきた。
「正直に言って、かっこよくないか?」
「一つ言わせてもらえば、かなりかっこいいよ。」
「これがかっこよくないって?もし彼と立場を変われるなら、変わりたくないのか?」
「私、嫉妬しちゃう。」
「くそっ、なんでこの青州剣道大会にこんな強者が現れたんだ?四雷剣宗の優秀な弟子が一撃も持ちこたえられないなんて?」
「どうやら彼は間違いなく青州第一を獲得するだろうな。」
「そうとも限らない、今回の青州剣道大会には神秘的な賞品があるらしく、おそらく多くの真の隠れた強者たちを引き寄せているはずだ。」
議論の声が上がり、大半は男性修行者たちからで、羨望する者もいれば嫉妬する者もいた。
しかし、すぐに女性修行者たちの声も聞こえてきた。
「わぁ、かっこいい、この師弟本当にかっこいいわ。」
「きゃー、こんなにかわいい師弟がいるなんて。」
「この若い師弟は私の好みよ、あぁ、もう我慢できない、姉妹たち、彼がどこの門下なのか聞いてきてくれない?」
女性修行者たちの声が響いた。
一瞬にして、多くの男性修行者たちの嫉妬心をさらに煽り立てた。
そうして。
あっという間に、七日の時が過ぎた。
青州剣道大会まで、残すところ二十日を切った。
城門の下で、この少年はすでに百戦百勝を達成していた。
一躍青州で名を馳せ、各地の高手たちが戦いを挑みに来ていた。
そしてその一方で。
臨河鬼墓。
二つの人影が臨河鬼墓の中を行き来していた。
蘇長御と空海は、この数日間、葉平の行方を探し続けていた。
しかし七日間探し続けても、葉平の痕跡すら見つけられなかった。
これに蘇長御はますます不安を感じ始めていた。
「蘇施主、何か奇妙に感じませんか?」
山間を歩きながら、空海は眉をひそめて何かを考えていた。
「奇妙?」
蘇長御には特に奇妙なところは感じられなかった。
「私たちは臨河鬼墓を七日間歩き回りましたが、一つも怨魂に出会っていません。これは少し不自然です。」
空海は眉をより深く寄せた。
臨河鬼墓は、至る所に孤魂野鬼がいるはずだ。一歩歩くごとに孤魂野鬼に出会うとまではいかないが、七日間連続で一つの孤魂野鬼にも出会わないというのは。
これは少し異常ではないか?
空海の言葉を聞いて、蘇長御も驚きを隠せなかった。
そうだ。
七日間連続で一つの怨魂にも出会っていない。
これが本当に臨河鬼墓なのか?
幽霊はどこに?
みんな死んでしまったのか?
「法師はどう思われますか?」
蘇長御は落ち着いて尋ねた。
「私は、おそらく鬼墓に新しい鬼王が生まれ、これらの悪鬼をすべて飲み込んでしまったのではないかと疑っています。」
空海はそう語った。
鬼王?
蘇長御の表情が変わった。
しかし、彼が口を開く前に。
突然、悲痛な叫び声が響き渡った。
「助けて!!!助けて!!!」
声とともに、二つの人影が現れた。