度化金光?
全ての怨魂が凍り付いた。
彼らは全員その場に立ち尽くし、まるで幽霊でも見たかのように驚愕していた。
闇に潜む首領さえも、完全に呆然としていた。
この度化金光は彼らにとって、まさに致命的な武器だった。一瞬の照射で、鬼王以下の存在は即座に超度され、一切の弁解の余地もない。
そう、鬼王以下は即座に超度される。
鬼修界において、鬼王は人族の元嬰境修士に相当する。
つまり、元嬰境以下の鬼魂は、度化金光に照らされた瞬間、どれほどの未練や抵抗があろうとも、強制的に超度されてしまうのだ。
ただの孤魂野鬼なら、超度されても大したことはない。
しかし鬼修にとっては、何百年もかけて苦労して修練し、やっと鬼将の境地まで到達したというのに。
誰が転生などしたがるだろうか?
皇帝として生まれ変わるとしても望む者はいない。鬼将となれば、多くの試練は待ち受けているが、少なくとも希望が見える。いつの日か鬼仙になれる可能性だってあるのだ。
超度されれば転生する以外に道はない。
この世でろくな暮らしもできなかったのに、次の人生なんて考えられるはずがない。
シュッシュッシュッ!
大量の黒煙が立ち昇る中、この吊死鬼は焼かれているかのように極度の苦痛を示したが、すぐに正常に戻り、周囲に白い光が漂い、一筋の白光に掠められると、その場から消え去り、転生の道へと向かった。
彼には罪があり、人命を奪っていたため、度化金光が照らすと激しい苦痛を伴うのだ。
「逃げろ!こいつは本当に羊の皮を被った狼だ!」
我に返った怨魂が悲鳴を上げた。
次の瞬間、全ての怨魂が狂ったように四方八方に散り散りとなり、まるで足が何本もあればいいのにと願うかのように猛スピードで逃げ出した。
彼らは一様に恐怖に震え、尻尾を巻いて逃げ出し、もはやその場に留まる勇気すらなかった。
「待って!転生の手助けをしますよ、大丈夫、痛くありませんから、すぐに終わりますから!」
全ての怨魂が逃げ出すのを見て、葉平は焦り、大声で呼びかけ、引き止めようとした。
彼らを転生させるために。
しかし、この怨魂たちは既に魂も飛び出んばかりに恐れおののいていた。
もはやここに留まる勇気など持ち合わせていなかった。
転生だって?
ふざけるな、転生したければとっくにしているわ。お前に超度されるのを待っているわけじゃない!
狂ったように逃げ出す怨魂を見て、葉平は焦り、次々と度化金光を放った。
度化金光を一発放つたびに大量の法力を消耗する。自身の法力は豊富とはいえ、葉平も無駄遣いはしたくなかった。
しかし今は仕方がない、葉平も手加減するのを止めた。
シュッシュッシュッ!
シュッシュッシュッ!
葉平は一瞬のうちに五、六発の度化金光を放ち、度化金光に当たった怨魂は即座に激しい苦痛を味わったが、瞬く間に罪が清められ、転生へと向かった。同時に幾筋もの功德の力が葉平の体内に流れ込んだ。
これに葉平は大いに喜んだ。
しかし、人の喜びは他人の悲しみ。葉平は上機嫌だったが、この怨魂たちはもう限界だった。
全ての怨魂は青ざめ、中には恐怖のあまり泣き出す者もいて、地面に跪いて哀願した。
「上仙様、どうか命だけはお助けください。私たちは命令に従っただけです。超度なさるなら、私たちの大哥を超度してください。彼は西北の方角に隠れています。どうか私たちを見逃してください。」
「そうです、上仙様。私たちは命令に従っただけです。超度なさるなら、私たちの大哥を超度してください。彼は鬼士です。彼を超度すれば大きな功德が得られます。どうか慈悲を持って、私たちを見逃してください。」
この怨魂たちは大声で泣き叫びながら懇願した。彼らはこのまま超度されるのが耐えられず、自分たちの大哥を売り渡すしかなかった。
葉平はこの言葉を聞いて、目を輝かせた。
まだ鬼士が闇に潜んでいるとは?
葉平も鬼修の境界区分は知っていた。この鬼修たちは、練気七層、練気八層に相当し、所詮は小物の存在だ。
しかし鬼士は違う。築基修士に相当する。
もし度化に成功すれば、それは……
葉平は考えるのを止めた。
彼は手を振り、数十の度化金光を放って、これらの怨魂を一気に超度した。
鬼士がいるとはいえ、子供じみた選択などする必要はない。全て手に入れるのだ。
蚊の肉でも肉だ。しかも、これらの怨魂から得られる功德の力は決して少なくない。
西北の方角。
張野は自分の配下たちが次々と葉平に度化されていくのを見て、完全に呆然としていた。
彼は、この一見儒雅な若い修士が、度化金光を凝縮できるとは全く想像していなかった。
冗談じゃないだろう?
こんな若さで度化金光を育成できるなんて、将来どうなるんだ?
これは、仏陀の転生か?それとも道尊の転生か?
張野はもはや何を言えばいいのか分からなくなっていた。
しかし逃げ出そうとした時、自分の配下が自分を裏切ったことを聞き、張野は怒りと悔しさで胸が張り裂けそうになった。
だが怒っても仕方がない。自分の配下は全員超度されてしまい、怒りをぶつける相手すらいないのだから。
ここまで考えると、張野は身を翻して逃げ出そうとした。この場に長居する勇気などなかった。
しかし、走り出した途端、葉平の声が背後から聞こえてきた。
「友よ、苦しいのか?」
その声を聞いた瞬間、張野は背筋が凍る思いがした。彼は恐怖に駆られ、北の方向へと必死に逃げ出した。
「友よ、逃げるな。お前の体は怨念に覆われているが、毎日苦しみの中で生きているのだろう?」
「私が超度してあげようか?最初は少し痛いが、その後はとても気持ちよくなるぞ」
葉平の声が背後から絶え間なく聞こえてきた。
これは張野にとって耐え難い拷問のようだった。
彼は後悔していた。こんな大物に関わってしまったことを。
しかし張野を最も苦しめたのはそれではなく、この時代にまだ猪を装う虎がいることだった。
面白いのだろうか?
もうこんな時代なのに、まだこんな古くさい手を使うのか?
もっと堂々としていられないのか?
その後ろで。
葉平はすぐに張野の存在を察知した。
葉平の目には、張野の体が怨気に包まれているのが見えた。その怨気は非常に濃密で、先ほどの怨魂たちの怨気を全て合わせたよりもはるかに多かった。
葉平は思わず心が痛んだ。
一人の人間がこれほどの怨気を纏うということは、生前に極めて不当な扱いを受け、苦しみを味わったに違いない。彼は張野のことを哀れに思った。
彼は決意した。必ず張野を超度し、幸せと喜びを取り戻させてやろうと。
そう思うと、葉平は速度を上げて追いかけた。
葉平は御剣飛行を使わなかった。まだ上手く使いこなせないため、自分で走る方が速かったからだ。
彼は太古神魔體の持ち主で、その肉身は常識では計り知れないものだった。
葉平が両足に法力を込めると、瞬時に風のように走り出し、その速さは張野に引けを取らなかった。
「道友よ、逃げるな。私は善人だ。お前の怨気を清めて、新しい鬼として生まれ変わらせてやろうと思っているのだ」
葉平は追いかけながら大声で叫んだ。
「上仙様、私が無礼を働いてしまい申し訳ありません。どうか寛大なお心で私をお許しください。二度と天理に背くようなことはいたしません」
張野は泣き声で言った。今や彼の全身は震えており、特に葉平が追いつきそうになると、さらに恐怖が増した。
「道友よ、誤解しているぞ。私はお前に怒ってなどいない。私は正道修士だ。お前があまりに哀れなので、超脱させてやろうと思っただけだ。私を信じてくれ」
葉平はそう答えた。
「上仙様、私は今のままで十分です。度化は必要ありません。ご好意は有り難いのですが、どうか私を解放してください。こうしましょう、私が鬼王のところへご案内しますから。私のような小鬼を度化しても意味がありません。鬼王を度化してこそ真の実力です。鬼王を度化できれば、それこそ無量の功德というものです」
張野は大声で言い、葉平を鬼王の元へ案内しようとした。
「鬼王もいるのか?それはいいな。道友よ、もう逃げるのはやめて、一緒に鬼王を度化しに行こう。功德は半分ずつ分けよう。安心しろ、私はお前に手を出したりしない。私は名門正派の者だ、お前を騙したりはしない」
葉平はそう言った。
しかし葉平は愚かではなく、自分の実力をよく理解していた。鬼王など度化できるはずがない。
両者はまったく次元が違う。たとえ度化金光があったとしても、どうにもならないのだ。
「上仙様、冗談はおやめください。お願いです、私を解放してください。お願いいたします」
張野は泣き顔で、走りながら懇願した。
彼は葉平をまったく信用していなかった。
「道友よ、それは酷いではないか?私葉某がここまで言っているのに、まだ信じてくれないのか?ならば仕方がない」
「大威天龍殿」
「大羅法咒」
「世尊地蔵」
「般若諸仏」
「般若破魔の呪」
葉平は大声で叫び、全ての法力を集中させた。瞬時に彼の全身が金色に輝き、一筋の度化金光が逃げる張野を直撃した。
「あああああ!!!!!」
凄まじい悲鳴が響き渡った。
遠くで、張野は地面に倒れ、絶え間なく悲鳴を上げ続けた。
度化金光が彼を包み込み、黒い煙が彼の体から立ち昇った。
この黒煙は罪業を表している。彼は多くの罪を犯してきたのだから、当然その報いを受けねばならない。
葉平はそれを見つめていた。
彼には一片の憐れみもなかった。これは張野の業だ。過ちを犯せば当然罰がある。たとえ度化されるとしても、そう簡単に気持ちよく転生できるわけがない。
これが天理というものだ。
罪を犯した者は、たとえ誰かに度化されたとしても、まず身に付いた罪業を洗い流さねばならない。そしてその過程は極めて苦痛を伴うものだ。
天理に背くような行いをしていなければ、そこまでの苦痛はない。
このようにして、一刻ほどが過ぎた。
ついに、張野の体から黒煙が完全に消え去った。
そして極めて純粋な功德の力が、葉平の体内に流れ込んだ。