善魁真人の肉体が滅ぼされた後、その元神が現れた瞬間、韓絕が虚空から現れ、手を上げて六道吸魂を発動し、その元神を手の中に吸い込んだ。
韓絕は力を込めて握りつぶし、善魁真人の元神を完全に消滅させた。
圧倒的な殺戮!
黃尊天は目を見開いた。救援に入る暇もなかった。
あまりにも速かった!
韓絕が善魁真人を殺すさまは、まるで蟻を踏み潰すかのように容易だった。
「やはり罠か!」
黃尊天は即座に身を翻し、逃走を選んだ。
韓絕は一跳びし、筋斗雲で黃尊天の前方に瞬間移動して、その逃路を遮った。
筋斗雲!
転移距離は彼が使用する六道霊力の量に関係していた。
十万八千里の跳躍は難しいかもしれないが、小範囲内での転移は韓絕にとって何でもなかった。
黃尊天は凍りつき、驚愕の表情で韓絕を見つめた。
韓絕は麒麟剣を取り出し、黃尊天に向けて剣を突きつけた。
「待て!手を出すな、蓑衣聖教の戦いを止めさせることができる!」黃尊天は額から冷や汗を流しながら重々しく言った。
韓絕は眉を上げて言った:「草を刈るなら根まで除くべきだ、分かるか?」
黃尊天がまさかこんなに簡単に屈服するとは!
韓絕は彼の紹介を思い出した。殺戮を好まない……
もしかして黃尊天は本当は玉清宗を攻撃する気がなかったのか?
だからこそ、蓑衣聖教の行動がこれほど遅延していたのか?
黃尊天は諦めたように言った:「実は私も多くの争いを引き起こしたくはなかった。しかし私は教主であり、教派全体の責任を負っている。私が主張しなければ、玉清宗の弟子たちはもっと多く死んでいただろう。今、彼らは皆無事に生きている。」
それは確かに真実だった。周凡も陽天冬もまだ生きていた。
韓絕は彼を殺すべきかどうか迷った。
もし黃尊天の言う通りなら、彼はまだ蓑衣聖教を抑制できる。もし黃尊天を殺せば、蓑衣聖教は狂い、その時には狂気の報復が始まる。韓絕としても世界中を追いかけ回すわけにはいかない。
「私を見逃してくれれば、帰ってすぐに蓑衣聖教に玉清宗への攻撃を止めるよう命じる!」黃尊天は厳かに言った。
韓絕はそれを聞いて、目が揺らいだ。
黃尊天は心の中でほっと息をついた。
どうやら交渉の余地がありそうだ!