第2章 単霊根
陸陽と孟景舟の頭の中には一つの考えしかなかった：終わった、試験官の前で不正行為の相談をしてしまった。
大師姉の雲芝は二人の不正計画を知らないかのように、一瞥しただけで二度と見ることなく、試験の準備に取り掛かった。
彼女が問道宗の弟子たちの間で非常に威厳があり、言うことを聞かせることができるのは明らかだった。
これらの問道宗の弟子たちは外の世界では天下を制する存在で、人々から崇拝され、天の申し子だった。これらの天才たちが彼女の命令に従い、少しの違反や怠慢もないことから、大師姉雲芝の地位の高さが窺える。
「根骨は成仙への道の第一関門だ。根骨が足りなければ、どれだけ資源を注ぎ込んでも修仙はできない。第一次試験の内容は根骨の測定だ。順番に前に出てきなさい。根骨に自信がない者は自主的に退出してもよい。」
誰も退出しなかった。
問道宗の試験に参加する者は、自分の根骨について理解している。陸陽のように家が近いからという理由で運試しに来る者は稀だった。
問道宗のこの措置は、根骨が問道宗の要求を満たさないのに、ごまかして入門しようとする輩を防ぐためだった。
一般的に、根骨の測定には根骨石が使用され、それは非常に大きく目立つものだが、問道宗の前方が空っぽなことから、明らかに根骨石を使用する予定はないようだった。
問道宗の弟子の一人が最前列に座っていた。戴不凡という名で、彼の修練する功法は特殊で、相手の体内を霊気が一巡するだけで、相手の根骨の種類、修練している功法、命門の位置などが分かり、戦闘では如意自在だった。
戴不凡は漢方医が脈を取るように、二本の指を手首に当てるだけで、相手の根骨を正確に知ることができた。
「金・水・火の三霊根か？まあまあだな、通過だ。」
「水火の双霊根、悪くない。」
「水木の双霊根、かつて基礎に損傷があったな。十二歳の時に大きな怪我をしたはずだ。本来なら後遺症が残るはずだったが、運よく達人に出会い、その達人は慈悲深く、見事な医術で君の基礎を修復した。」
その人は少し驚き、戴不凡がこれほど正確に見抜けるとは思わなかった：「私が十二歳の時、母が病死し、継母が権力を握りました。継母は私の存在が彼女の息子の地位に影響すると心配し、私を陥れました。私は昏睡状態に陥り、目覚めた時には既に無事でした。父は、その時通りかかった達人が私を救い、名前を残さずに去っていったと言いました。」
その人が去った後、問道宗の弟子が前に出て戴不凡の修為の進歩を祝福した：「ただ脈を取っただけで、まるで目の当たりにしたかのように事の顛末を推測できるとは！戴先輩の修為の進歩、まことにおめでたい！」
戴不凡は淡々と言った：「ああ、それほどのことではない。その達人は私だ。当時急いでいたので、人を救った後に名前を残すのを忘れただけだ。」
「……」
話している間に、戴不凡は次の受験者に手を振った：「十八歳か、年齢オーバーだ。帰りなさい。」
可愛らしい見た目の小僧が大僧侶に連れられて戴不凡の前に来て、丁寧に礼をした。
戴不凡は一瞥して、小僧を大僧侶に返した：「空中寺の沙弥がここに何しに来た？お前の体内には空中寺の住持の刻印がある。行け行け、空中寺に戻りなさい。」
「空中寺は五大仙門の一つだったよね？」陸陽は小声で孟景舟に尋ねた。
孟景舟は頷き、真剣な表情で言った：「空中寺は五大仙門の中で最も弟子が少なく、最も少ない時は住持と一人の弟子だけで、多い時でも十人を超えることはない。この小僧はまだ修行していないが、既に空中寺の弟子となっている。きっと仏性が深いのだろう。」
彼は空中寺の先輩に連れて行かれる小沙弥を見て、大敵に対するかのように言った：「私は将来の修行界で傲視群雄になると思っていたが、まさか私と対等に渡り合える者がいるとは。」
陸陽は孟景舟のその自信がどこから来るのか分からなかった：「雲芝さんが俺たちを追い出すことを少しも心配してないのか？」
「何を怖がることがある？話本小説にはいつもこう書いてあるだろう。大宗門が目が利かず、誣告陥害して天才少年を宗門から追放する。天才少年はそれを恥辱と考え、奮起して努力し、次々と奇遇に恵まれ、一気に上り詰めて、大宗門を見下げる...いや、見上げる存在になるんだ。」
陸陽は暫く黙った後、注意を促した：「……でも雲芝さんは俺たちを誣告する必要もないよね。」
「そうだな。」
そう言って孟景舟も慌てだした。
「体内の気が絶えることなく自然に巡っている。服装から見て修行世家の出身ではなさそうだが、幼い頃に青木仙果を食べたことがあるのかな？通過だ。」
「おや、この体質は面白いな。」戴不凡は青銅色の肌をした大男に指を当て、目を輝かせた。「古代蠻族の血脈か、久しく見なかったな。」
その大男は背が高く体格がよく、頭は丸坊主で、肌は日光に照らされて反射するほどだった。見た目は二十五、六歳にも見えたが、戴不凡が年齢について疑問を呈さなかったということは、まだ十六歳未満ということだった。
陸陽はただ発育がいいとしか言えなかった。
群衆が少し騒がしくなった。古代蠻族は山を動かし、日月を呑み込むほどの力を持ち、最盛期を極めた後、歳月の長河の中で消滅した。
中央大陸では古代蠻族の血脈が現れなくなって久しく、誰もがこの上古の血脈は既に消滅したと思っていたが、今問道宗の試験でまさに一人現れたのだ。
戴不凡は欠伸をしながら、既に半分の人を調べたが、単霊根が一人も見つからないことに不満そうだった。みな他の門派に連れて行かれてしまったのだろうか。
孟景舟は堂々と前に立った。戴不凡も大した期待はしていなかったが、人差し指と中指を孟景舟の手首に当てた時、突然目を丸くして、ぱっと立ち上がった：「なんと単...」
戴不凡のその言葉を聞いて、下から議論の声が沸き起こった。なんと単霊根だと！
単霊根が何を意味するか、各境地の壁が他の人より遥かに低く、必ず仙道の大修士になれる運命にあり、朝廷に入れば高位に就き、野に在れば一方の王となれる！
人々は孟景舟に熱い視線を向けた。このような人物と早めに交友を結んでおくことに害はなく、利点しかない！
長老たちは急いで後輩たちに、問道宗に入ったら必ず孟景舟と良い関係を築くようにと言い聞かせた。
孟家の者、単霊根、問道宗の弟子、この三つの身分が重なれば、将来間違いなく問道宗の実力者となり、歴史に名を残す修仙の達人となる！
「獨身霊根だ。」戴不凡が孟景舟の霊根の正式名称を言うと、場は静まり返った。
孟景舟は激しく怒った。獨身霊根とは何だ、一生独身という意味か！
「私は見識が浅いから、騙さないでくれ！」孟景舟は青筋を立て、テーブルをガンガン叩き、非常に怒っていた。
「戴師弟、人をからかってはいけません。」仙のように儚げな声が聞こえ、雲芝が霧の中から現れ、戴不凡を睨みつけた。戴不凡は心虚そうに首を縮めた。
孟景舟はようやく少し落ち着いた。そうだ、きっと戴不凡が嘘をついているのだ。
雲芝は更に孟景舟に言った：「しかし、戴師弟は君を騙してはいません。確かに君は獨身霊根です。これは学術名称です。ただ、修仙界では、みんなその俗称である純陽霊根と呼ぶことの方が多いのです。」
孟景舟：「……」
彼はようやく一族の長老や両親が自分の霊根を教えてくれなかった理由が分かった。
五大仙門に行けば分かるなんて、要するに彼らが恥ずかしくて言えなかっただけだ！
なるほど、自分が根骨を測定した後、両親が弟が欲しいか妹が欲しいかと聞いてきた理由が分かった。
変異単霊根、純陽霊根、至剛至陽、鬼魅の天敵。
純陽の体を保てば修為は一日千里、純陽の体を失えば修為は一気に千里を失う。