居酒屋の中で、一人の客が大声で話し、多くの人々の注目を集めていた。
「聞いたか?我が郡に正道の侠客が現れたそうだ。秦元浩という名で、その行いは五大仙門の者たちからも敬服されているらしい!」陸陽は目尻を上げ、口角を上げながら、異常に興奮した様子で、何か面白い噂を聞いたかのように、皆に話そうとしていた。
「本当かよ、俺は延江郡にそんな奴がいるなんて聞いたことないぞ?」
「その名前には覚えがあるな、良い人物じゃなかったような。」
「うるさい、この若者に秦元浩の話を続けてもらおう。」
陸陽は一呼吸置いて、続けた。「この秦元浩という侠客は修為が低くなく、築基期の実力を持っている。義に厚く、交友関係も広い。彼を知る者は皆、兄貴と呼びたがるほどだ。」
秦元浩が築基期の修為を持っていると聞いて、客たちの目が輝いた。これは本当に珍しい話だった。
普段彼らが語る江湖の噂話では、一流の武林高手がどうこうと、どれほど驚くべき経験をしたかなど、確かに凄まじい話を聞いて興奮するものの、冷静に考えれば、一流武林高手の実力もそれほど高くはない。
皆が認めているのは、武林の一流高手は練気八層から九層に相当するということで、これが武林高手の限界だった。
今回、築基期の高手の噂が出たのだから、当然よく聞いておかねばならない。後で自慢の種にもなるだろう。
「ある日のこと、秦元浩は親友と共に競売会に参加した。親友が一つの宝物に目を付け、秦元浩に数千の下品靈石を借りようとした。すると秦元浩は大笑いして、『我々の仲で金の話をするのは野暮だ』と言い、八千の下品靈石をそのまま与えた。親友は大いに感動したという。」
「八千の下品靈石だと?!」傍観者の孟景舟が驚いて叫んだ。「靈石は修仙界の通貨だぞ。八千の下品靈石があれば、郡の中心部で大きな屋敷と一生仕える絶世の侍女を買えるほどだ!」
孟景舟の説明で、客たちは八千下品靈石がどれほどの価値かを理解した。
この秦元浩という男は実に豪快だ。八千靈石を惜しげもなく与えるとは!