第45章 油条を武器として侮るなかれ

陸陽は片手に剣を持って戦い、もう片手で齊武の首を掴んで後ろに投げた。「後ろに扉があるぞ、早く逃げろ!」

齊武は瞬く間に三、四メートル飛ばされ、今にも地面に落ちそうになったとき、体の下から目に見えない力が湧き出し、彼の体を支えて安全に着地させた。

「ご救助ありがとうございます、仙長様!」

そう言うと、すぐに躍ちゃんたちを連れて外へ走り出した。躊躇する様子は全くなかった。

彼らは陸陽と虎妖の修為がどれほどのものか分からなかったが、修士同士の戦いは勝敗に関わらず、必ず周囲に影響が及ぶことは知っていた。彼らのような凡人の体では、その余波に少しでも触れれば、後半生はベッドで過ごすか、土の下で過ごすかのどちらかになってしまう。

虎妖は毛を逆立て、額の「王」の字が微かに光を放ち、陸陽を引き裂こうと、さらに凶暴な攻撃を仕掛けてきた。

「私が助けに参ります!」

他の二体の山神像から声が響いた。一人は経典を手に持ち、物静かな様子で、もう一人は全身から光を放ち、まるで無量金身を築き上げた得道の高僧のようだった!

蠻骨は手の中の経典を持ち上げてみたが、軽すぎると感じた。経典をしまい、懐から二冊の『大夏字典』を取り出した。

「これなら手応えがある」

蠻骨は幼い頃から、蠻族は戦う種族であり、武器は形にこだわらず、何でも武器になり得る、使いやすいものを使えばいいという教育を受けてきた。

今、最も使いやすいのは本だった。

「知識は力なり!」

彼は二冊の字典を、まるでレンガのように持ち、虎妖の額めがけて叩きつけた。虎妖は一瞬呆気に取られた。こんな武器は見たことがなかった。

景舟は武器を必要としなかった。彼の体こそが最強の武器だった。彼は金色の人となり、虎妖に向かって突進した。虎妖の後ろに立っていた生魂は悲鳴を上げ、体からシューシューと煙を上げ始めた。

純陽霊根は鬼魅に対して特効があった!

生魂は恐れおののき、もはや虎妖の命令に従わず、寺から逃げ出し、雨の帳の中に消えていった。

虎妖は今日ほど怒りを覚えたことはなかった。

修士との衝突を避けたいからといって、修士を恐れているわけではない。この天の高さも地の深さも知らない若造たちを引き裂いて、他の場所に逃げ出せば、誰も自分を見つけることはできないだろう。

松山というこの風水の宝地が惜しいものだ。

虎妖はそこまで考えると、もはや手加減することなく、虎の尾を唸りとともに陸陽に向かって横薙ぎに振るった。もし陸陽が攻撃を続けるなら、重傷は免れないだろう!

陸陽は即座に判断を下し、剣を収めて後退した。虎の尾が地面を打ち、寺全体が揺れた。

三人は表情を引き締めた。「すでに金丹の虚影を凝らしている!」

修士が結丹するには、まず金丹の虚影を凝らし、金丹が虚から実へと変化してはじめて、正式に金丹期に踏み入れることができる。

目の前の虎妖は明らかに結丹の途中で、並々ならぬ実力を持っていた!

「我は半歩金丹期の大能者、築基期の小僧どもが我を傷つけるとは!」

「半歩金丹?」陸陽は景舟の方を見た。大師姉からそんな言い方は聞いたことがなかった。

常識人の景舟が説明した。「まだ結丹していないのに、自分が大したものだと思い込んで、築基期とは一緒にされたくないと言って、無理やり金丹期に近づこうとする輩のことだ。金丹期の修士からは相手にもされない、かなり哀れな存在だよ」

親切な蠻骨が補足した。「陸兄さんが知らないのも当然です。宗門の先輩たちはこういう言い方を嘲笑していますからね。結丹に虚から実なんて必要ない、そんなのは凡俗のやることで、彼らは直接結丹するんです」

正直者の陸陽は同情の眼差しで虎妖を見た。「確かに哀れだ」

虎妖はますます怒り、目を血走らせた。誇りにしていた修為をこの三人の小僧に貶められたのだ。

最も重要なのは、これが彼らの本心だということだった!

せめて演技でもしてくれればいいものを!

虎妖は威圧を放ち、先手を打って三人を抑え込もうとした。

しかし予想に反して、三人とも影響を受けなかった。陸陽と景舟は嘲笑いながら言った。「私たちは古代竜の血を持つ元嬰期の大妖の威圧を経験していますからね。あなたの威圧なんかに影響されるわけがないでしょう?」

蠻骨に至っては言うまでもない。古代蠻族の血は彼にあらゆる威圧を恐れさせなかった。蠻族が上古時代に横行跋扈できたのは、まさにこの天も地も恐れぬ性質があったからこそだ。

とにかく野蛮そのものだった。

虎妖は人族のように二本足で立つのを諦め、前足を下ろし、地面に這いつくばり、顎を地面にぴったりとつけ、虎の目で三人を睨みつけた。

轟――

虎妖は後ろ足に力を込めて蹴り出し、まるで砲弾のように三人に向かって突進してきた。青鋒劍を胸の前に構えた陸陽は、かろうじて虎妖の鋭い爪を防いだ。

陸陽は回転しながら後退し、ようやく虎妖の力を受け流すことができた。

先ほどの化け皮の鬼とは違う。化け皮の鬼の利点は不気味さにあり、攻撃は得意ではなかった。正体を見破られれば勝つのは難しくなかった。しかし虎妖は違う。

妖族はもともと肉体が強いことで知られている。虎妖の修為が三人より一つ上の大きな段階にあることは言うまでもなく、陸陽がこの一撃を剣で防ぎ、怪我を負わなかったことは、極めて稀有なことだった。

景舟と蠻骨は左右から挟み撃ちにした。虎妖の血液中の符文が光り、疾風となって二人の上空に飛び、二人に向かって爪を振り下ろした。

雲從龍、風從虎。虎妖は生まれながらにして風系魔法を操ることができ、これは血脈に由来する本能の法術だった!

景舟は空中で力を借りることができず、虎妖と一撃を交わした。蠻骨は字典を胸の前に守りとして構えたが、字典は半分が虎妖の爪で引き裂かれた。

陸陽はこの機に乗じて剣を繰り出した。一往無前の勢いで、剣は稲妻のように閃き、瞬く間に虎妖の前に迫り、数回の突きを放った。しかし残念ながら、虎妖の毛皮は厚すぎて、陸陽の剣は全く刺さらなかった。

虎妖が高笑いをしようとした時、陸陽の力量を見くびったことを嘲笑おうとした時、突然その体内から数道の剣気が爆発し、血を流し始めた。

爆発が起きた場所は、まさに陸陽が刺した場所だった!

暗剣気!

陸陽は相手を刺し貫く必要などなかった。彼がしようとしていたのは、剣気を相手の体内に送り込むことだった!

これこそが妖族が體修に劣る点だった。妖族の体は外見は強靭だが、内部の器官や血液は非常に脆弱なのだ!

虎妖は後退し、もはや陸陽の剣と正面から打ち合うことを避けようとした。

しかし陸陽は容赦なく、右手で剣を振るって虎妖をかわしながら、左手で油条を取り出し、虎妖の頭めがけて一撃を加えた!

本来なら虎妖は避けられたはずだった。しかし相手が取り出したのが油条だと見て気を緩め、相手が本当に子供だと内心で笑い、焦って何でも武器にしようとしているのだと思った。

そして一撃を食らって茫然とした。

これはいったいどんな油条なんだ!

景舟は山のごとき姿となり、虎妖が頭を混乱させている数秒の間に、その腰を狙って体当たりをした。虎妖は老獪で経験豊富に見えたが、実は至る所に隙があった。

戦わないことを信条とし、逃げられるなら絶対に戦わず、修練を始めてから今まで、ほとんど人と戦ったことがなかったのだ。

虎妖はよろめき、蠻骨が攻撃を仕掛け、目玉めがけて打ち込んだ。虎妖は慌てて顔を横に逸らし、頬に当たって毛が一部剥げ落ちた。

虎妖は本能的に尾を振り回し、蠻骨に当たったが、蠻骨は尾の動きに合わせて蹴り返し、大きな怪我は負わなかった。

陸陽は瞬時に数剣を繰り出し、油条で数発追加し、虎妖を連続して後退させた。

一通りの戦いを経て、むしろ三人が優勢を占めていた。

虎妖は気付いた。相手は若いながらも、修為は低くとも、極めて高い底力を見せており、背後には必ず強大な勢力があるはずだと。そして撤退しようという心が芽生えた。

三人は虎妖を逃がすわけにはいかなかった。今日虎を山に帰せば、明日にはまた何人もの人が害されることになる。

逃がすわけにはいかない!

「お前たちは度が過ぎている!」

虎妖は咆哮し、激怒した。三人は虎妖に命を賭けた覚悟が見えたため、密かに警戒を強めた。

虎妖は目を見開き、寺の外に向かって咆哮し、最後の手段を使った。「女房、誰かが私を殺そうとしているぞ!」