延江郡に入った時、蠻骨は延江支部の件を地元の官府に知らせ、一緒に秦元浩を探すことを提案したが、陸陽と孟景舟は官府を信用できないという理由で否決した。
今となっては、二人の心配は理由のないものではなかった。
延江支部は官府内にスパイを送り込んでおり、しかもその地位は低くなかった!
楚艇長はゆっくりと話し始めた。「陸陽、延江支部の上層部の中で、私が最も期待しているのは君だ。採春祭の後、上からの査察が入る。今回の査察は今までとは違う。君と孟景舟、蠻骨という三人の魔道の種がいることで、上からの評価は私にとってかなり良くなるだろう。」
「私が昇進する可能性は極めて高い。そうなれば、支部長の座が空くことになる。」
「慣例では、新しい支部長は本支部の上層部から選ばれる。君は経験は浅いが、教主の君への評価を考慮すれば、上から新しい支部長に任命される可能性も十分にある。」
「君のライバルたちは今も牢獄に入れられていて、三日後にしか出てこられない。そんな愚かな行為をした者たちを、上は高く評価しないだろう。」
「採春祭は近隣の郡の大きな祭りで、影響力も小さくない。もしこの祭りで何か事を起こせば、上は君を高く評価するだろう。」楚艇長は陸陽に暗に示唆した。
……
陸陽は楚艇長の言葉を孟景舟たちに伝えた。孟景舟と蠻骨は、当初秦元浩に対して噂を流すことを選び、官府の助けを借りなかったことを幸運に思った。
そうでなければ、こんなに繁盛している焼き肉店もなかっただろう。
陸陽は彼らの注目点がどこか間違っているのではないかと感じた。
「誰が楚艇長の仕込んだスパイなのか分からないのが問題だ。」四人とも困っていた。彼らは官府の中で誰が黃符のことを知る資格があるのか分からなかった。
「心配するな。お前が支部長になれば、誰がスパイかわかるさ。楚艇長はお前をそれほど重用しているんだから、去る前に必ず教えてくれるはずだ!」孟景舟は大笑いした。陸陽がこんなに早く昇進するとは思わなかった。
陸陽が昇進すれば、彼と蠻骨は延江郡でどんな暴れ方をしても自由だ。
後ろ盾があるというのは良いものだ。
四人が賑やかに議論している時、外から衛捕頭のノックの音が聞こえた。
「陸店主さん、また表彰状を持ってきましたよ。」
陸陽はドアを開け、衛捕頭を熱心に迎え入れた。