血月樓でまだ生きていた二人の九級武士は、劉遠が北王様によって謎の武器で一瞬で殺されるのを見て、完全に抵抗する意志を失った。
半歩宗師でさえ北王様に鶏のように殺されたのだ。彼ら二人の九級武士に何の抵抗の力があろうか。
それは半歩宗師なのだ!
宗師まであと一歩という半歩宗師なのだ!
宗師はおろか、大宗師でさえ半歩宗師を一瞬で殺すのは容易ではないのに、噂では無能だという皇子の北王様に一瞬で殺されてしまった。
「王様、お命だけはお助けください。私は劉遠に脅されて来ただけで、王様に逆らう気など毛頭ございませんでした。」
「王様、どうかお命を。私は血月樓の隠れ家の場所を知っております。もし王様が血月樓を討伐なさりたければ、ご案内させていただきます。」
……
血月樓の二人の九級武士は話しながら土下座し、頭から流れる血で髪の毛がべっとりと固まっていた。
この光景を見て、王傾辭の心は複雑な思いで一杯になった。
かつては九級武士がどれほど強いものかと思っていた。特に自身が九級武士になってからは、いつか自分の実力で煙雨閣から、王家から逃れられると思っていた。
しかし今となっては、九級もたかが知れているようだ。
九級どころか、これからは半歩宗師の地位さえも大幅に下がることだろう。
そう考えながら、王傾辭は再び路辰の手にある黒い棒に目を向けた。
あの謎の武器があれば、どんな半歩宗師も一般人と変わらない。
もし北王府が同じような武器を大量生産できれば、これからの武道の世界は完全に覆されることだろう。
この時の王傾辭は、武道の世界の崩壊と、北王様が大陸全土を統一する光景を見ているかのようだった。
そのとき、李峰が路辰に言った:「王様、この二人を生かしておいてはいかがでしょうか。彼らは血月樓の場所を見つけるのに役立つかもしれません。」
路辰は少し考えてから尋ねた:「李将軍、この二人の九級武士が逃げ出さないと保証できるかね?」
李峰は言った:「王様、鉤で彼らの琵琶骨を固定し、功力を使えないようにすることができます。」
路辰は笑いながら言った:「李将軍、私が聞いているのは、この二人の九級武士が逃げ出さないと保証できるかどうかだ。」
これは……
李峰は黙り込んだ。
もちろん、そんなことは保証できない。