第37章 王傾辭の目に映る北王様

血月樓でまだ生きていた二人の九級武士は、劉遠が北王様によって謎の武器で一瞬で殺されるのを見て、完全に抵抗する意志を失った。

半歩宗師でさえ北王様に鶏のように殺されたのだ。彼ら二人の九級武士に何の抵抗の力があろうか。

それは半歩宗師なのだ!

宗師まであと一歩という半歩宗師なのだ!

宗師はおろか、大宗師でさえ半歩宗師を一瞬で殺すのは容易ではないのに、噂では無能だという皇子の北王様に一瞬で殺されてしまった。

「王様、お命だけはお助けください。私は劉遠に脅されて来ただけで、王様に逆らう気など毛頭ございませんでした。」

「王様、どうかお命を。私は血月樓の隠れ家の場所を知っております。もし王様が血月樓を討伐なさりたければ、ご案内させていただきます。」

……

血月樓の二人の九級武士は話しながら土下座し、頭から流れる血で髪の毛がべっとりと固まっていた。

この光景を見て、王傾辭の心は複雑な思いで一杯になった。

かつては九級武士がどれほど強いものかと思っていた。特に自身が九級武士になってからは、いつか自分の実力で煙雨閣から、王家から逃れられると思っていた。

しかし今となっては、九級もたかが知れているようだ。

九級どころか、これからは半歩宗師の地位さえも大幅に下がることだろう。

そう考えながら、王傾辭は再び路辰の手にある黒い棒に目を向けた。

あの謎の武器があれば、どんな半歩宗師も一般人と変わらない。

もし北王府が同じような武器を大量生産できれば、これからの武道の世界は完全に覆されることだろう。

この時の王傾辭は、武道の世界の崩壊と、北王様が大陸全土を統一する光景を見ているかのようだった。

そのとき、李峰が路辰に言った:「王様、この二人を生かしておいてはいかがでしょうか。彼らは血月樓の場所を見つけるのに役立つかもしれません。」

路辰は少し考えてから尋ねた:「李将軍、この二人の九級武士が逃げ出さないと保証できるかね?」

李峰は言った:「王様、鉤で彼らの琵琶骨を固定し、功力を使えないようにすることができます。」

路辰は笑いながら言った:「李将軍、私が聞いているのは、この二人の九級武士が逃げ出さないと保証できるかどうかだ。」

これは……

李峰は黙り込んだ。

もちろん、そんなことは保証できない。