第54章 なぜお前の功力は消えていないのか

背後の武士たちが全員現れたのを見て、陳鵬翼は遠くにいる穆長天を見ながら言った。「師匠、まさか、こんな時になっても、あなたを救おうとする者がいるとは思いもしませんでした。」

「師匠も表面上見えるほど忠君愛国ではないようですね。」

「本当に忠君愛国なら、今すぐ自害すべきでしょう。」

言葉が落ちると同時に、陳鵬翼は両足で地面を蹴り、瞬時に穆長天に向かって突進した。まばたきする間もなく、彼は穆長天の目の前に迫っていた。

そして一刀を振るった。

白い光が穆長天の前を横切った。

陳鵬翼が穆長天の死を確信したその瞬間、突如として穆長天の体から強大な力が噴出し、続いて彼の体は気の塊に包まれた。

次の瞬間、穆長天は手を上げ、素手で陳鵬翼の刀身を受け止めた。

この光景を目にして、陳鵬翼は呆然とし、彼の後ろにいた二人の宗師も、そして彼を殺しに来た武士たちも凍りついた。

陛下が穆國公府の男たちに散功丹を与え、彼らの体内から功力が消えたと聞いていた。今では普通の人よりも体が丈夫で、力が少し強いだけのはずだった。

しかし穆長天から放たれる気勢を見ると、これは功力を失っているどころか、明らかにまだ宗師のままだった。

宗師と宗師の間にも差があり、大夏にも宗師は少なくないが、なぜ穆長天は天王と呼ばれるのか?

それは単に夏帝の即位を支持しただけではない。大夏王朝において、同じ宗師境界内で、穆長天の相手になれる者はほとんどいなかった。だからこそ彼は天王になれたのだ。

陳鵬翼は信じられない様子で言った。「お前...お前がなぜ功力を失っていない!」

陳鵬翼の声は震えていた。穆長天の弟子として、彼は師匠と共に多くの戦役に参加してきた。穆長天の実力をよく知っていた。

今回の穆長天の排除は非常に簡単な仕事で、夏帝からの信頼も得られると思っていたのに、まさか穆長天が功力を失っていないとは。

冗談じゃない!

穆長天は戦神だ!

同じ宗師境界内で無敵と称される存在!

かつて都で穆國公府一族を逮捕した時、國師の司徒策という大宗師まで直接出動したのだ。そうでなければ大夏王朝が簡単に穆長天を捕まえられるはずがない。

それなのに今、穆長天が功力を失っていないと言うのか?これは自分の命を危険にさらすようなものだ。