第79章 これは噂の無能な王様なのか？

車から降りてきた女性を見た路辰は、その場に立ち尽くしてしまった。

女性の精緻な顔立ちは氷のように冷たく、純白の衣装は雪のように輝き、肌は滑らかで繊細、髪は雲のような髷に結い上げられ、額には梅の花のような印が見え、体つきは優美で、全身から聖なる光を放っており、まるで天から降りてきた仙女のようだった。

路辰は最初、システムでこの女性の情報を確認することすら忘れていた。女性が口を開くまで、我に返ることができなかった。

「民女、王様にお目にかかります」

陳婉容は玄月宮の宮主ではあったが、名目上玄月宮はまだ大夏の管轄下にあったため、大夏の王様に会えば、陳婉容も礼を尽くす必要があった。

陳婉容の声は清らかで静かで、特別な魅力があり、聞く者の心を揺さぶるものだった。

我に返った路辰は、少し言葉を詰まらせながら言った。「お、お気になさらず」

その後、路辰はすぐにシステムで目の前の女性の情報を確認した。

【名前：陳婉容】

【身分：陳家の餘孽、陳国姫、玄月宮宮主、21歳、宗師境界、今回北郡に来たのは、主に北王様に近づき、情蠱で北王様を操り、その後北王様の生血で伏龍呪を作り、夏帝に対抗し、陳国の仇を討つため。】

【評価：98】

【好感度：10】

98という評価を見て、路辰はようやく反応した。98点か、こんなに美しければ100点をつけても文句はないだろう。

楚語琴でさえ97点の評価だったのだ。

そう考えると、95点以上では、1点上がるごとに、女性の容姿は数段階も上がるということか？

もちろん、路辰は陳婉容が楚語琴よりもそれほど美しいとは思わなかった。重要なのは彼女から放たれる雰囲気で、まるで仙女のようだった。それこそが路辰の心を最も揺さぶるものだった。

興奮が収まると、路辰はすぐに心を落ち着かせ、陳婉容に微笑みかけて言った。「陳宮主様が我が王府にお越しくださるとは、私の光栄です。林おばさん、陳宮主様、どうぞお入りください」

路辰が陳婉容を見つめる様子を見て、傍らの林婉芸は心の中でため息をついた。

彼女は分かっていた。北王様は陳婉容の美しさに心を奪われたのだと。

おそらく二日もしないうちに、陳婉容は北王様に情蠱を使用し、そうなれば北王様は完全に陳婉容の支配下に置かれ、最後には伏龍呪を作るための道具となってしまうだろう。