第44章 霊気

林亦のその果断な身のこなしは鍾水雨を更に驚かせた。

「誰から習ったカンフーなの?林亦、一体どれくらい強いの?」

マンションに入り、階段を上がる時、階段には林亦と鍾水雨の二人だけだった。

鍾水雨は前を歩く林亦の背中を見上げ、美しい瞳には好奇心が満ちていた。

彼女は林亦がカンフーを習っていたことを知っていたから、昨日張劍を蹴り飛ばしたのだと。

しかし鍾水雨は、林亦がそれほど凄いとは全く想像していなかった。

特に五人もの、それも不良たちと対峙した時でさえ、少しの怯えも見せなかったことは、同年代の中では唯一無二だった。

「美しい師匠から習ったんだ。俺はまあ、とても強いってことだよ」林亦は階段を上がり、鍾水雨の家の前で彼女が来て開けるのを待った。

「美しい師匠?どれくらい美しいの、私より美しいの?」鍾水雨はポケットから鍵を取り出しながら、林亦の言葉の中の「美しい」という言葉に敏感に反応した。

鍵を鍵穴に差し込み、林亦の方を向いて、すぐには開けずに、探るような眼差しを向けた。

林亦の脳裏に、趙琉璃が青い薄絹の衣装をまとい、剣を携えて九十州を行き、片手で玄阿山を滅ぼした光景が浮かんだ。

特に趙琉璃の冷たい潭のような瞳に、思わず見とれてしまった。

「ねえ?」鍾水雨は林亦が呆然としているのを見て、思わず彼の前で手を振った。

「あ、二人とも美しいよ、ただタイプが違うだけさ」

我に返った林亦は急いで答えた。「師匠は冷たい水のような清冷な美しさで、先生は温泉のような柔らかな美しさだよ」

林亦の言葉を聞いて、鍾水雨は思わず白い目を向けた。「よく言うわね、先生が温泉みたいだなんて。どこが温泉なのよ?」

鍾水雨はドアを開けながら、冗談めかして言った。

林亦は彼女の後に続いて部屋に入った。

「先にちょっと座っていて。今日は暑いから、私はシャワーを浴びてくるわ」

「テーブルにフルーツがあるから、洗って食べて。食べ終わったら昨日教えた要点をしっかり復習しておいてね」

鍾水雨は言い終わると、部屋に戻り、服を数枚取って、浴室に入った。

これは2LDK1バスの部屋で、浴室は主寝室の中ではなく、外にあった。

服は濡れないように脇に置いた。

鍾水雨は鏡の前に立ち、真剣に鏡の中の自分を見つめた。

この容姿なら、モデルになっても全く問題ないはずだった。