林亦は陳琳嫣と一緒に車から降りた。
家に戻ると、陳琳嫣は時折林亦を見ては、何か言いたそうにしながらも言い出せずにいた。
二階に上がると、陳琳嫣は林亦が自分の部屋に入るのを見送り、何も言えないまま、心に淡い寂しさが過ぎった。
「前は彼がここを離れることを望んでいたのに、なぜか今は何か変な感じがする。」
「陳琳嫣、あなたバカになったの?」陳琳嫣は独り言を言い、眉をひそめながら、林亦が閉めた部屋のドアを見て、自分の頬を軽く叩いた。
彼女はそんな思いを押し殺し、部屋に戻って着替えを取り、シャワーを浴びに行った。
部屋の中で、林亦は深く息を吸い、懐から褐岩草を取り出した。
「帝豪での時、鍾水雨から吸収した霊気があれば、この褐岩草を今の自分が使えるレベルまで成長させられるはずだ。」
林亦は自分の左手を見つめた。
意識を集中すると、左手から淡い霊気が流れ出し、ゆっくりと褐岩草へと流れ込んでいった。
霊気が流れ込むにつれ、褐岩草は軽く震え始め、枝葉が徐々に開き、全体の色が次第に濃くなっていった。枝葉を覆う褐色も深まり、まるで岩石のような様相を呈してきた。
しばらくして、左手の霊気が尽きると、褐岩草は半指ほど成長していた。
「薬効が約二十年分増加した。霊気の変換効率はまだまだ低いが、練気第一層の私には十分だ。」
「この褐岩草があれば、少なくとも練気二段の境地に到達できるはずだ。」
そう考えると、林亦はためらうことなく、指に力を込めて褐岩草を潰した。
ここには丹術の条件が整っていないため、林亦は褐岩草をそのまま口に含んだ。
褐岩草が口に入るや否や、砂を噛むような苦みが口の中に広がり、さらに荒々しい力が鼻腔から体内へと流れ込んでいった。
「この薬草を丹に調合することができないので、修練法で薬効を吸収するしかない。少し時間がかかるが。」
林亦はゆっくりと目を閉じ、体内で《造化の決》を運転し始めた。
造化の決は林亦が以前、ある仙家の聖地で得た修練法で、薬物の精髄を直接抽出して自身を強化するもので、丹術の手間を省くことができるが、同時に薬物の利用効率も下がってしまう。
以前の林亦は九玄天尊様だったため、この修練法を使う必要はなかったが、今となってはその効用が見出せる。