「ちょっと待って」
二人の看護師が振り返り、木村靖子を見つめ、そのうちの一人が尋ねた。「何かご用でしょうか?」
木村靖子は、先ほど藤堂澄人と植田涼のところで受けた屈辱を、この二人の看護師にぶつけようとした。顔をしかめ、詰問するような口調で言った。「手術室にこんな食べ物を持って行くつもりですか?」
「はい、医師が何時間も手術を続けているので、少し食べ物を届けようと思いまして」
木村靖子の表情はさらに険しくなり、声も大きくなった。「これはどんな病院なんですか?手術室で食事をするなんて、患者の安全はどうなるんですか?」
看護師の前で藤堂澄人から受けた屈辱を紛らわせたいだけでなく、澄人の怒りを九条結衣に向けさせたかったのだ。
藤堂瞳が中で九条結衣に手術を受けているのに、彼女は中で食事をする厚かましさ。