藤堂澄人はその場に立ち尽くし、九条結衣の後ろ姿が自分の視界からだんだん小さくなっていくのを見つめながら、眉間にしわを寄せ、心の中に後悔の念が滲み出てきた。
胸の中の重苦しい感覚を手で揉みながら、そこが今、鈍く痛んでいた。
あの時、木村靖子の話を持ち出したのは、ただ彼女に仕返しをするための口実に過ぎなかった。そして藤堂瞳の口から語られ続けた木村靖子は、彼の最高の武器となっていた。
しかし今、その口実のせいで、九条結衣との結婚生活において、こんなにも受け身な立場に追い込まれてしまった。
藤堂澄人の視界から離れると、九条結衣はすぐに病院を出て車に乗り込んだ。それでも、藤堂澄人から受けた重圧は依然として消えることはなかった。
車の中で長い時間座っていると、やっと気持ちが落ち着いてきて、病院を後にした。