緊張のあまり、指先が掌に食い込み、爪は血の気を失っていた。
藤堂澄人はようやく反応を示したが、上げた瞳には冷たい光が宿っていた。
「お兄さん、聞いているの?パートナーは決まった?」
木村靖子の視線も、藤堂瞳の言葉とともに、緊張して藤堂澄人の顔に釘付けになった。
「今から探しに行く」
木村靖子と藤堂瞳が驚いた目で見つめる中、藤堂澄人は背を向けて立ち去り、藤堂瞳の言葉を完全に無視した。
「お兄さん、戻って!ここに一人いるじゃない!何を探しに行くの...」
この時、最も居心地が悪く、最も困惑していたのは木村靖子だった。
あれこれ計算してみても、結局、藤堂澄人は目の前にいる彼女すら見向きもしなかった。
今から誰を探しに行くの?九条結衣?
木村靖子は心の中で恨めしく思いながら、不甲斐なさと嫉妬の炎が再び心の中に広がっていった。