「だから言ってるでしょう。男なんて所詮ダメな奴らばかり、信用できないわ。心を開いてしまったら、取り戻すのは本当に難しいの。やっと取り戻せたなら、絶対に守らなきゃいけないわ、分かる?守れなかったら、もっと悲惨な結末になるかもしれないわ」
九条結衣は静かに聞いていた。二人は一口一口お酒を飲み、どれだけ飲んだか分からないうちに、二人とも酔っ払ってしまった。
バーには人が増えてきて、彼女たちの方に近づいてくる男も増えてきた。
「お二人とも、そんなにお酒飲んじゃダメですよ。体に悪いから。僕たちと一緒に話でもしませんか?」
数人の中肉中背の男たちが彼女たちの側に押し寄せてきた。その目つきは下品で攻撃的で、思わず嫌悪感を覚えた。
九条結衣は眉をひそめ、夏川雫は椅子から立ち上がった。
酒を飲みすぎて足元がふらついていたため、彼女はカウンターをしっかりと掴んで、目の前の男たちを見つめながら言った。「また臭い男たち。あたしはあんたたちみたいな臭い男と話なんかする暇ないわ。さっさと消えなさい!」
その言葉が終わるや否や、数人は大笑いを始めた。
バーというところは、もともと平穏な場所ではなく、また他人の揉め事に首を突っ込む人も少ない。そのため、この二人の若くて美しい女性が困っているのに気付いても、誰も助けようとはしなかった。
「美人は怒っても可愛いねぇ、ハハハ...」
「そうだよな、あの赤い唇が動くたびに、かじりつきたくなるよ...」
「...」
数人の汚らわしい言葉に九条結衣は眉をひそめ、夏川雫の手を引いて立ち去ろうとした時、「バン!」という音が響いた。夏川雫は手にしたビール瓶を、目の前の中年太りの男の頭めがけて叩きつけていた。
「厚かましい犬め、あんたなんかにあたしを口説く資格なんてないわ。さっさと鏡見てきなさい!」
夏川雫は割れたビール瓶を手に持ったまま、目の前の数人を指差しながら罵り続けた。
彼女のこの行動は、明らかに目の前の男たちを怒らせてしまった。殴られた中年男性は即座に飛び上がり、額から流れる血と怒りに歪んだ表情が、特に恐ろしく見えた。
「この売女め、よくも俺を殴りやがったな。覚悟しろよ」
彼は周りの仲間たちを指差して言った。「こいつを捕まえろ。今日ここで殺してやる!」