七年前も今も、彼は九条政の能力に対して常に疑問を抱いていた。八年前の九条グループの危機の際、誰もが九条政が最後の土壇場で状況を立て直したと思っていたが、彼は知っていた。九条グループを救った人物は、決して九条政ではなかったことを。
表向きは藤堂グループが当時、九条グループに出資して経営を安定させたとされているが、当時の状況に自ら関わっていた彼は、藤堂グループの出資金は錦上花を添えるようなものに過ぎず、雪中に炭を送るほどの意味はなかったと感じていた。
当時、藤堂グループの資金がなくても、九条グループは乗り切れたはずだった。
彼は当時、誰かが裏で九条グループを助けているのではないかと疑っていた。しかし、あれほど誇り高い令嬢の九条結衣が、あんなことをした後でも、自ら身を差し出しに来るなんて、九条グループが本当に追い詰められていなかったとすれば、あり得ないことだったはずだ。