松本裕司が自分のオフィスを出たとき、秘書に呼び止められた。「松本秘書。」
「はい?何でしょうか?」
秘書は困ったような表情を浮かべ、「1階に弁護士の方がいらっしゃって、社長にお会いしたいとのことです。」
「弁護士?」
松本裕司は眉を上げた。「どんな弁護士だ?」
「奥様の離婚訴訟を担当している弁護士だと仰っています。」
秘書は苦い顔をして受付からの伝言を伝えた。松本裕司もその言葉を聞いて驚いた。「な...なんだって?奥様の弁護士が社長と離婚の話をしに?」
「はい。」
秘書は覚悟を決めて頷いた。心の中で噂の奥様に五体投地の敬意を表した。プラチナ独身貴族のような社長と、よく離婚する決心がついたものだと。
「松本秘書、この件は...社長にお伝えいただけませんか。」
秘書は懇願するような目で松本裕司を見つめた。「お願いします。」