しかし、藤堂澄人は少し苛立たしげに眉をひそめ、藤堂瞳の言葉を全く無視して病室を出て行った。
木村靖子の顔色が急に青ざめたが、少しの不満も表に出すことができず、逆に藤堂瞳に言った。「あなたったら、私は子供じゃないのよ。病院で誰かに虐められるなんてことないわ」
「それはわからないわよ。この病院は九条結衣の同僚ばかりだし、彼女があなたを狙い撃ちにするかもしれないわ」
藤堂瞳は呆れたように目を転がした。木村靖子はただ横に座って苦笑いするだけだった。
「心配しないで。九条さんとは誤解があるけど、結局は私の姉なのだから、そんなことはしないはずよ」
口では寛容なことを言っているものの、あのパーティーの夜、トイレで九条結衣から受けた屈辱を思い出すと、彼女を八つ裂きにしたい気持ちでいっぱいだった。