137.彼は何を見たのか!!!

向かい側に座っているのは長陵重工業の社長だった。長陵重工業は藤堂グループのような大財閥には及ばないものの、名の知れた大企業である。しかし、長陵重工業の社長でありながら、この人物は藤堂澄人の前では少し緊張しすぎているように見えた。

藤堂澄人のような落ち着きと余裕のある風格、座るだけで場を支配できる存在感に比べ、長陵重工業の社長は初めて上位者からの威圧感を感じていた。

今回のプロジェクトは、小さいとは言えないが、大きいとも言えない規模で、藤堂家当主が直接交渉に出向くほどのものではなかった。

藤堂家当主どころか、長陵重工業の社長も出向く必要のないものだった。

長陵重工業は以前から藤堂グループが誰かを派遣して交渉に来ることは知っていたが、まさか藤堂澄人が直接来るとは思ってもみなかった。