藤堂グループや二宮家のような大財閥には及ばないものの、全国でもかなりの規模を誇る企業だった。
だからこそ、当時小林会長が直々に声をかけてきた時、数日考えた末に承諾したのだ。
小林会長は確かに彼を信頼し、会社の全ての意思決定と運営を任せていたが、藤堂グループからの出資の件については、形式上小林会長に相談したところ、意外にも断られてしまった。
この件については今でも理解できないが、彼は空気を読める人間だった。社長が信頼してくれているのだから、その判断は尊重しなければならない。たとえ藤堂グループのような大口スポンサーを失うことになっても、残念に思うしかなかった。
今や、小林会長が会社を九条社長に譲渡し、若い九条社長は小林会長とは違う考えを持っているはずだと考え、以前の企画書を再び取り出した。