145.小乔一が消えた

九条結衣:「……」

初が目を上げて九条結衣を一瞥し、言った。「結衣、静かに横に座っていて。これは男たちの戦いなの。私は今、南風兵団の総司令官なんだから、戦場で気が散るわけにはいかないでしょう?」

「そうよ、姉さん。初は今、三軍の総司令官なんだから、あなたの三歳の息子じゃないわ」

九条結衣:「……」

相手が三歳の子供だとは想像もできないでしょうね。

九条結衣は九条初に対して普段から過度に干渉することはなく、基本的に子供を尊重する方針だったので、初がこのゲームを終えるまで、本当に鶏のように静かにソファに座って、彼が終わるのを待っていた。

しばらくして、初はスマートフォンを置き、九条結衣の方へ歩いてきた。「ママ、何か話したいことがあるの?」

九条結衣は驚いた。小さな子がこんなに察しがいいとは思わなかった。藤堂澄人にそっくりなその顔を見つめ、少し躊躇した後、うなずいた。

「ママが聞きたいことがあるの」

「うん、聞いて」

九条結衣は真剣な表情で初を見つめ、尋ねた。「初はパパが欲しい?」

九条結衣のその質問を聞いて、初は少し驚いた様子で、しばらくしてから考え深げに言った。「ママはパパが欲しいの?」

「欲しくないわ」

九条結衣は躊躇なく答えた。

「ママが欲しくないなら、初も欲しくない。初はママだけでいい」

初の答えに、九条結衣は少し安心したものの、完全には心配が消えなかった。

こんなに小さな子供が、周りの子供たちは皆パパとママに囲まれているのに、自分の周りにはパパがいない。本当に気にしていないのだろうか?

「もしいつか、初のパパが初を探しに来たら、初は一緒に行きたい?」

「ママはパパは死んだって言ったじゃない?」

九条結衣:「……」

表情を引き締めて、彼女は言った。「もしもの話よ」

「ママはパパと行きたいの?」

九条結衣は行きたくないと言おうと思ったが、自分の答えが初に影響を与えたくなかったので、「初が先に答えて」と言った。

初は唇を噛みしめ、真剣に考えてから、こう言った。「幼稚園のお友達はみんなパパがお迎えに来るの。初もそうしてほしいな」