「九条初を迎えに行って帰ってきてから、野菜を洗って料理を作ろうとしていました。彼はいつものようにリビングで遊んでいたんですが、私がキッチンから出てきたとき、子供がリビングにいなくて、あちこち探しても見つからなくて、私は...」
ベビーシッターは怖くて言葉が出なくなった。
子供が消えてしまい、ベビーシッターとして責任は免れない。
九条結衣は目を閉じ、深く息を吸い、何度も何度も自分を落ち着かせようとした。
「警察には通報しましたか?」
「はい、警察は今、周辺の監視カメラを確認しています」
九条結衣は頷いた。彼女が今住んでいる家は、従兄の小林翔の所有物で、市の中心部の最も繁華な地域、人口が最も密集している場所にある。
当初、彼女がここに住むことを選んだのは、通勤に便利で、九条初の幼稚園からも近かったから。