126.望まない

「お兄ちゃんの最後の言葉はどういう意味?植田涼には私みたいな妹がいなくて良かったって、どういうこと?」

藤堂瞳はしばらく呟いた後、ようやく気づき、顔を真っ赤にして怒った。「お兄ちゃんまでも、私みたいな義理の妹は扱いにくいと思ってるの?」

どういうことよ、九条結衣みたいな計算高い女がお兄ちゃんと結婚するのは相応しくないと思っただけなのに、お兄ちゃんがどうして私を扱いにくいと思うの。

それに、誰が義姉になるかによるでしょう。靖子なら、絶対にそんな態度を取らないわ。

「お兄ちゃん、九条結衣に魔法でもかけられたの?前は自分でも九条結衣のことが嫌いだったのに、今じゃ何かにつけて彼女をかばうなんて、どういうこと?」

木村靖子の表情は先ほどよりも更に暗くなった。さっきの意図的な告げ口で、藤堂澄人が少なくとも九条結衣に腹を立てると思っていた。結局、藤堂瞳は今でも患者なのに、九条結衣は彼女の体調を気にかけていないのだから。